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とても面白いんだけど、自己満足で終わらせないで実利用レベルまで造り込みたい

最初に考えた人には脱帽させられます。
一般的な飲料アルミ缶は、オーソドックスなアルコールストーブを作るのにとても都合の良い形状をしている。主室と副室とに分割しながら燃焼熱によって副室の圧力を高めて噴出孔から火炎を発生させ、燃料残量が僅かになるまでその状態を維持し続ける。
もしかすると、似たような工業製品が先んじて存在したのかも知れないけれど、飲料缶に簡単な加工を施すだけでこれほど都合の良いアルコールストーブを作れる事に気付いたのは慧眼だと思う
「alcohol stove」で検索すると、世界的に広まっている自作・仕様である事がわかる

最初にオーソドックスなタイプのものを作ってみて思ったのは、蓋付きを作りたいという事。長期に亘ってアルコールを入れっぱなしにしたい訳では無く、キャンプ期間だけでも燃料を無駄にしたくないので、密閉できる構造にする事で、使用ごとに残った燃料を保管・再利用できる様にしたいと思った。
完璧に密閉してリスクの無い様に

アルコールストーブはメカニカルトラブルに無縁で手軽に扱えるのがメリットなのだが、アルコールの性質はローリスクという訳では無い。爆発の蒸気密度範囲は広いし、そもそもひっくり返せば火の海になる。
火力も強い訳では無いので、用途はある程度限られるだろう。例えば、煮込み料理などには不向きだ。また、二つ異なる構造のモノを作成して気付いた事だが、その構造によって熱効率は意外な程に大きな差が生じる。
リスク,効率、この辺りも勘案して、実利用を目的にしたアルコールストーブを作っていきたい
 


 
アルコールストーブの自作 > 仕組み,蓋付き,リスク,効率
1st November 2020, since 21st October 2020
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outset. 仕組み
 
1. 構造と燃焼
2. 製作の要点
3. リスク
4. 飲料缶
 
chapter1. プロトタイプ
 
1. パーツ
2. 手順と要点
3. 評 価
 
chapter2. 蓋付き
 
1. パーツ
2. 手順と要点
3. 評 価
 
chapter3. 伝熱線追加
 
1. パーツ
2. 手順と要点
3. 評 価
 
chapter4. 広口の蓋付き
 
1. パーツ
2. 手順と要点
3. 評 価
 
chapter5. 伝熱線追加
 
1. パーツ
2. 手順と要点
3. 評 価
 
chapter6. 雑 感
 
1. 火力のフェーズ
2. 灰皿にしてみた
3.
 


outset. 仕組み


右図は、プロタイプの断面模式図。
以降、各部位は右図に示す名称で説明する

燃焼のプロセスを箇条書きする

・アルコール燃料をOpen Chamberへ注入
・アルコール燃料は底部のSlitを通じてPressure Chamberへも浸透し各々で気化する
・Open Chamberで気化したアルコールに着火する
・Top, Partitionから炎の熱が伝わりアルコール燃料の温度が上昇し気化が促進される
・Pressure Chamberの圧力が上がりOutlet Holeから気化アルコールの噴出する勢いが強くなり点火される
・持続的に燃焼する
・底部のSlitよりもアルコール水位が下がるとPressure Chamberの圧力が低下しOutlet Holeの噴出炎は勢いを失う。この時点で燃料残量は僅かとなっている




上記より、製作の要点は次の二つ

・炎の熱をアルコール燃料に伝え易くする
・意図したOutlet Holeを除きPressure Chamberの密閉性を確保する

炎の熱を伝えるのは、TopとPartitionである。
TopとBottomの合わせ方は、Topを内側へ、Bottomを外側にした方が熱伝導で有利になる。
Top上部の開口のサイズをどうするかは難しい。小さくすると最初に着火するのが困難になるが、大きくするとその分だけ炎で炙られる部位が小さくなり熱伝導で不利になる。また、この開口部から立ち上がる炎は、可能な限り小さくして、Outlet Holeからの噴出炎を目立たせた方が面白い。それに、センターの炎は酸素供給が少なく燃焼(熱)効率が悪い筈だ。この辺りのサイズ決めは、手探りでやってみるしかない

Pressure Chamberの密閉性については、TopとPartitionの接合で完璧に密閉する事、TopとBottomの接合も同様、更に、Partitionを長方形のアルミを丸めて円筒を作る場合にもその接合部位も完璧に密閉する
 


3. リスク

アルコールは爆発する。気化メタノールと空気の混合気体は、蒸気密度が7〜36%の広範囲で爆発する

火が内部に入り難くずっとリスクの小さなガラス製のアルコールランプでも少量の燃料では使うなとされ、小学校の理科実験での使用も禁止されている。ガラス容器上部にヒビか欠損のあるモノを使用して爆発した出来事を受けてのこと。
考慮するべきは、僅かな間隙からも火は入り込むものだという事と、容器内のアルコール蒸気密度は広い爆発範囲に収まり得る事の二つ

メタノールの性質を知っていれば、アルコールストーブの構造を見ただけで、そんな危険なモノは使えないと思うかも知れない。
Open Chamberは問題無い。密閉されていないので、仮に爆発したところで軽い破裂音がするだけのこと。
問題は、Pressure Chamberにあり、アルコール注入後の状態として爆発する蒸気密度範囲となる可能性は高く、そして、Outlet Holeから火が入り込むと爆発する。着火ポイントはOpen Chamber上部で、Outlet Holeからは離れているものの、それで火は入らないとは言い切れない

爆発すれば、Outlet Holeは小径なので逃げ道にならず、Pressure Chamberのアルコールを押し下げ底部のSlitを通じてOpen Chamberのアルコールを上部開口部から押し出してしまう。ストーブ周辺に、火のついたアルコールを撒き散らかす事になる。しかも明るいところではアルコール燃焼の炎は見えない



では、どう対処すればいい?

ひとつは、この様なリスクのあるアルコールストーブは使わないで、ずっと安全なブタン燃料のクッカーを使う事だ

もうひとつは、既知の方法で、Partitionにカーボンフェルトを巻きつけ、或いは、Pressure Chamberにカーボンフェルトを適度に詰める。この事で、アルコール注入後のPressure Chamberの蒸気密度を高く維持する事や、Outelet Holeから火が入り難くする事が出来る。
この事でOutlet Holeからの噴出が阻害される事は無い。カーボンフェルトは細密なスチールスクラバーで代用する事が出来る



あと、アルコール燃料の燃焼によりホルムアルデヒド(有害物質)が発生するので、室内でテストする時は換気をする事ですね
 


4. 飲料缶

素材となる飲料缶は、多くがアルミで、一部がスチールである

少し調べたところ、アルミ缶には、3000系もしくは5000系のアルミ合金が使われ、腐食防止のために内側に合成樹脂の皮膜が塗布されている。果汁やビールなどにも耐えられる訳だ。尤も、加工した箇所は合成樹脂の皮膜が無くなるので、アルコール燃料に耐え得るかどうかは少々心配になる。
プルトップとスクリューキャップの飲料缶を比較すると、後者のほうが硬く全体的に肉厚も比較的厚く作られている。ネジ蓋を回す応力に耐える為だろうか。合金の種類も異なるのかも知れない

硬いと言えばスチールだが、これはアルミよりも腐食する可能性が高い。熱にはアルミよりも強く変形し難いのだが、あまり使いたく無い素材だ。あまり加工しないで使えるパーツであればいいかも知れない
 




chapter1. プロトタイプ


3つの缶を使う。350ml缶を2つと250ml缶を1つ。350ml缶2つだけでも出来る。
左画像では、Topを1つの350ml缶から既に切り出して仕上げている。中心に適度な開口部を開け、肩の部分に小さな穴を数箇所〜十数箇所開けていく。肩口から10mm前後下の高さに十数箇所の穴を開け、その下をカットして短冊状にする

250mlアルミ缶は、Partitionに使う。Partitionは他の缶の余った部分から作る事も出来て、その場合は全てを2つの缶で作れる。
250mlアルミ缶の飲み口付近には僅かな括れがあり、この径がTop(及びBottom)の溝にピッタリ嵌ってくれるので、ここでカットしてTopに接着する側とする。必要な長さ+1mmで切り出し、底から2mmの高さに十数箇所の穴を空け其の下をカットして短冊状にする。これを内側に曲げて、Bottomの溝の径に合わせる。十数箇所の穴はSlitになる

Bottomは切り出すのみ

接着面や熱伝導が期待される部位は印刷を削り落としてある。結果、Bottomの印刷のみ残している

あと、細密なスチールスクラバーを適量。強力な耐熱接着剤は必須で、オートウェルドがお勧め
 



先ず、TopとPartitionを接着する。接着剤をたっぷり使い、隙間が絶対に出来ないようにする。
完全に固着したら、スチールスクラバーを詰め込む

Bottomが外側になるようにTopを嵌め込めば完成

Topの短冊状の部分を除いて肩口から下の部分に接着剤を薄く塗布して嵌め込む事で、微かな隙間も出来ない様にする。
その際、TopとBottomとの角度がブレ無い様に、全周に亘って同じ歩幅で押し込んでいく。そうしないと、Topの接着面が内部で歪んでしまうだろう
 


3. 評 価

最もオーソドックスな造りで、センターからの炎を抑制する事も出来た。
合格点かな?と思ったのだが、
次章で作ったモノと比較するに、実に燃焼(熱)効率が悪い事がわかった

500mlのエスプレッソを、パーコレータタイプの器具で作るのに、約30mlのアルコール燃料を消費し、要する時間は約17分間
――この辺りは水温や環境温度次第

比較とした次章のモノについて、先に結果を記すと、
室温など同じ条件下で、同じ30mlのアルコール燃料で、500mlのエスプレッソを3回も作る事が出来た。所要時間は1回につき約19分間と少し長めであるが、大きな差ではない。
大きな差となったのは、燃料消費量だった

センターの炎への酸素供給がほとんど無い為に熱効率が悪いのだと思う。Outlet Holeから炎が噴出すれば、Open Chamberの開口部に蓋をしてしまう方が熱効率は良くなるだろう

※一連のテストは、秋の涼しい夜に行ったもので、昼間など気温の高い時に行うと、時間は短縮される。おそらく燃料消費量も抑制されるだろう
 




chapter2. 蓋付き

燃料の使い切りは実利用には適さない。蓋付きで燃料保存出来るモノが欲しくなる。なにも長期間に亘ってアルコールを保存したい訳でなく、キャンプ期間だけでも燃料を無駄に使わずに済めば十分

仕組みとしてはプロトタイプと同じであるが、Outlet HoleをPartitionに設け、そのPartition上部で蓋によって密閉する事が出来ればいい
 



必要な缶は2つ。撫肩のスクリュー蓋付きの缶と一般的な350ml缶。この2つの缶の径は等しく底の部分の加工もほぼ等しい。
右画像中央の撫肩で蓋付きの缶からTopとPartitionを、もうひとつ左右いずれかの缶からBottomを得る。他に、径1mm前後のワイヤーとスチールスクラバーを用意する

Partitionは最も手間の掛かるパーツ。
スクリュー(ネジ)下の最も括れている溝の上部に数箇所のOutlet Holeを上向きに開ける。その直ぐ上にワイヤーで作ったリングを接着する。このリングは、Topを受けて接着し密閉を確実にする為のもので、高い精度で水平にする。
Partitionの下部は、一定の高さに沿って十数箇所の穴を開けその下をカットして短冊状にし、内側へ折り曲げて開口部がBottomの溝にピッタリ嵌る様にする。その際、折った短冊がBottomの傾斜に密着すれば理想的

Topは、センターに飲み口が通過しリングで止まる穴を開け、プロトタイプのTop同様に下部を短冊状にする。
Bottomもプロトタイプ同様に切り出すだけ

蓋は少し削る必要があるだろう。樹脂製のパッキンに飲み口を押し付けてはじめて密閉する事が出来るので、蓋がTopに当たって締め切るのを邪魔しない様にする

飲み口外側のスクリュー部分はコーティングを削る。このコーティングは熱で溶け、細かくひび割れ浮いてくるので、キャップを締め切る弊害になる。完成後でも使用後でも構わないので、削ってキャップがスムーズに回転するようにする
 



先ず、TopにPartitionを接着する。耐熱接着剤はたっぷり使い密閉を損なわないようにする。固着した後で、裏側から、狭い隙間を通して、リングとTopの間に接着剤を盛るなどして完璧に密閉する

スチールスクラバーを間に詰め込む

Bottomを押し込んで完成。要領は、プロトタイプで行ったと同様に
 



アルコールを入れて、蓋を閉めて、逆さにシェイクしても燃料が漏れない事を確認

均質で綺麗な形状の炎が立ち上がる。その高さは7〜10cm程度。五徳で囲み環境温度が上がると15cm前後の炎になる場合もある

500mlのエスプレッソを、パーコレータタイプの器具で作るのに、約30mlのアルコール燃料で3回可能だった、1回当たりの要時間は約19分間
――この辺りは水温や環境温度次第

そんな感じで、3シーズンはなんとか使えそうだけれど、真冬は厳しいかも知れない

※一連のテストは、秋の涼しい夜に行ったもので、昼間など気温の高い時に行うと、時間は短縮される。おそらく燃料消費量も抑制されるだろう
 




chapter3. 伝熱線追加

本当は環境依存せずに4シーズンで同じ様に扱えるモノが理想なんだけれど、それは無理かも知れないので、冬でも使えるモノを期待して作ってみた
 



前章と同じ構造に加えて、炎の熱をアルコール燃料に伝える事を期待してワイヤを這わせてみた。左画像のPartitionが異なるのみで、他はまったく同じ

蓋の邪魔にならない様に飲み口内側の炎が立ち上がる辺りにワイヤを巻き、Pressure Chamberへ通して底までもっていく。熱を伝えたいのは、スチールスクラバーが保水した分と底のアルコール燃料。
ワイヤを通した穴はしっかり塞ぐ

ワイヤは熱伝導に優れた銅線を使う
 



前章のモノと全く同じ要領

箇条書きでまとめると、
・TopとPartitionを接着
・完全に密閉するように耐熱接着剤はたっぷり使う
・スチールスクラバーをPressure Chamberに詰める
・Bottomを押し込む



Bottomの押し込みに失敗した。やや斜めに押し込んでしまった為に、その際にTopが変形し短冊上の穴が突出して、Bottomを切り裂いてしまった。
Bottomを取り替えたのだが、ひん剥けば簡単に取り外せてしまう。完成後も、Bottom胴体部分のアルミは薄いので、ストーブ側面は弱く、些細な事から破れ兼ねないので、傷などつけない様に気をつける必要がありそうだ。
側面保護を兼ねて保温効果のある耐熱カバーでも作るべきかも
 



アルコールを入れて、蓋を閉めて、逆さにシェイクしても漏れない事を確認

炎の高さは10〜15cm程度。効果はある様だ。温まると?炎の勢いは強くなり20cmほどの高さになる。五徳も少し高くする必要がある

500mlのエスプレッソを、パーコレータタイプの器具で作るのに、約30mlのアルコール燃料で3回は無理で、2回と半分ぐらい、1回当たりの要時間は約15分間
――この辺りは水温や環境温度次第

前回のモノと比べて、燃費は少し悪くなり、熱量は上がった。
と言っても記録自体に大きな差は無い。但し、前回のテストよりも冷え込みが厳しくなっていた事を考えれば、かなり良い結果だったのかも知れない。
低下していただろう水温を考えれば所要時間は伸び燃料も多く必要になって当然だから

どのていど使えるかは、真冬のテスト待ちかな
 




chapter4. 広口の蓋付き

広口になれば火力も上がるかも知れないと思い作ってみた。広口になるほど酸素供給量はアルコールの燃焼量に対して不足がちになるだろうから、効率はあまり良くないかも知れない。
スチール缶の加工は手ごわいけれど、その点を除けば、意外に簡単に作れる




必要な缶は3つ。170ml蓋付きのスチール缶を1つと一般的な350ml缶を2つ。
Partitionにスチール缶を使う。この缶はBottomの溝よりも微かに太くて「chapter 1 プロトタイプ」で使った250ml缶に等しく、下部は同じ様に加工する事でフィットしてくれる。スチールは腐食が怖いので印刷などはなるべく削らない。削るのはTopを接着する面とスクリュー部分。
飲み口外側のスクリュー部位を削るのは、熱で印刷が溶けてひび割れると、蓋の締め付けが悪くなるからだけど、完成後・使用後でも構わないかも。
スクリュー部位の下の最も括れている溝の上部に数箇所のOutlet Holeを上向きに開ける

Topの開口は、湾曲している面を全て取り除く様にカットする。つまり、折れ曲がっているギリギリでカットする。これはニブリングカッターがあると簡単。
この開口部はPartitionのスクリュー部分の下の最も盛り上がっている部分より僅かに広くなり、接着剤を塗布して埋める様にして、TopとPartitionを接着出来る。どちらもある程度広い面があるので、密閉性,強度を確保し易いだろう

Partitionは、必要な長さ+1mmで切り出し、底から2mmの高さに十数箇所の穴を空け其の下をカットして短冊状にする。これを内側に曲げて、Bottomの溝の径に合わせる。これはプロトタイプのPartition下部と同じ加工方法
 



TopとPartitionの接合では、密閉を完璧なものにする必要があるし、接合する水平精度も望まれる。更に、蓋の開閉時に応力が掛かる部位なので、接着強度も必要になる。
Partitionの接着面に耐熱接着剤を塗布して、位置決めを確実にして固定し、仮留めとする

完全に固着したら、僅かな隙間から耐熱接着剤を押し込むように塗布していく。すぐ下のOutlet Holeを塞いでしまっても構わない。それは硬化後に改めてドリルで穴を開ければいい。むしろ、そうなってしまうぐらいに耐熱接着剤をたっぷり流し込んで、密閉性と強度を確実なものにする。
スクリュー下部やTopの肩口にはみ出した接着剤は拭き取る。無水アルコールを使えば完全に拭き取ることが出来る

後は、前々章のモノとほぼ同じ要領

箇条書きでまとめると、
・TopとPartitionを接着
・完全に密閉するように耐熱接着剤はたっぷり使う
・スチールスクラバーをPressure Chamberに詰める
・Bottomを押し込む
 



アルコールを入れて、蓋を閉めて、逆さにシェイクしても漏れない事を確認。
前章までのモノと比べて背が高くなる。低く抑える事も出来るが燃料容量が小さくなってしまう。火力も強くなるなら、五徳も背の高いモノが必要になる

炎の高さは15cm前後。小径のモノと比べて熱量は比較的大きい。温まってくると炎は20cmぐらいの高さになる

500mlのエスプレッソを、パーコレータタイプの器具で作るのに、約30mlのアルコール燃料で2回、1回当たりの要時間は約14分間
――この辺りは水温や環境温度次第

小径の蓋付きと比べて、燃費(熱効率)は少し悪くなり、熱量は上がった。
所要時間は伝熱線追加の小径のモノと近いタイムだが、更に冷え込みが厳しくなっていた事を考えれば、かなり良い結果で、真冬でも使えるかも。低下していただろう水温も考慮すればこの所要時間は実用的だと思える

但し、温まるのに、つまりOutlet Holeから炎が勢いよく噴出するのに、少々時間がかかる。Partitionがスチール製だからかも。
これにこそ、伝熱線追加があった方がいいのかも
 




chapter5. 伝熱線追加

chapter 3 で小径の蓋付きのモノに伝熱線を追加したのと全く同じ事を、前章の広口の蓋付きのモノにも施してみる。効果があるのはわかっている。そして、Partitionがスチールであるが故に熱伝導が良くないのであれば、伝熱線の効果が比較的大きなものになる事を期待できるかも知れない




前章のPartitionに伝熱線を追加したのみ。他は全て同じ
 



前章のモノと全く同じ要領。
TopとPartitionの水平精度を確保して仮留めし、隙間から耐熱接着剤をたっぷり流し込んで、密閉性,強度を十分なものにする事を、再び強調しておく

箇条書きでまとめると、
・TopとPartitionを接着
・完全に密閉するように耐熱接着剤はたっぷり使う
・スチールスクラバーをPressure Chamberに詰める
・Bottomを押し込む
 



アルコールを入れて、蓋を閉めて、逆さにシェイクしても漏れない事を確認

炎の高さは20cm〜25cm程度。見るからに火力がありそう

500mlのエスプレッソを、パーコレータタイプの器具で作るのに、約30mlのアルコール燃料で2回余り、1回当たりの要時間は約9分間
――この辺りは水温や環境温度次第

伝熱線の無いモノと比べて、燃費(熱効率)は微かに落ち、熱量は大きく上がった。
五徳も高く設置したのだが、足りずに炎がはみ出してしまった。もう少し高く設置すれば、所要時間は更に短かくなって、燃費もより良かったのかも

これなら煮物でも出来そうだ。尤も、長時間の煮込みをするにはアルコール燃料が大量に必要になるので実際的ではないが。パーコレータに使うには、前章や前前章の小径蓋付きに伝熱線追加のモノや広口蓋付きのモノで十分で、今回のモノはオーバースペックかも知れない

熱量,効率(燃費)共に実用的なレベルになってきたと思う。
仮に、まだわからないが、真冬には相対的に火力が落ちるのだとしても、今回のストーブであれば十分に実用に耐えそうだ
 




chapter6. 雑 感
 



着火の後、火力は3段階で変化する。2段階止まりのモノもある

最初のフェーズは、Open Chamberで自然に気化したアルコールの燃焼で、火力は小さい。第2のフェーズは、その炎でストーブが温まりアルコールの気化が促進され、Outlet Holeから炎が噴出し始め、実用的な火力になる。通常は、この第2段階までが設計意図だと思う。
chapter 1, 2 のプロトタイプと小径の蓋付きのモノは、この段階止まりだった。少なくとも秋の涼しい気候に於いては

第3のフェーズは、更に火力が増す。離散的に変化し、1段階強くなった状態で安定,平衡状態になる。その変化は、ストーブを五徳で囲み上に載せたパーコレータが熱くなった状態で起こり易い。
ストーブ自体の温度としての閾値があって、その温度に達するとアルコールの気化が1段階勢いを増すのだと思う。ちょうど熱せられた水が沸騰し始めると蒸気の勢いを増す様に。アルコールの沸点は摂氏76度。それが閾値なのかも?

あくまで仮説だけれど、だとすれば、環境温度次第で火力は変化するという事になる。それも離散的な変化の可否として

炎からの熱伝導はストーブの構造に依存するが、環境温度は、気候の他に設置場所や五徳,酸素供給の状態など多くの要因が影響する。
意図的には熱伝導の悪い敷物を用意する事やストーブ自体の冷却や熱放射を抑制するためのカバーなどが考えられるが、最も影響するのは気候だろう。これは、一年を通じてテストしてみる他無い
 



chapter 2 で作ったアルコールストーブを灰皿に流用してみた

失敗作が2つあった。ひとつは、スクリュー部位の引き出しが短くて、蓋の締め付けによる密閉が心許なかったので、失敗作としていたモノ。もうひとつは、PartitionとTopとの接合に微かな隙間が出来てしまったモノで、完成後に上からパテ埋めすると蓋に干渉するので失敗作とした。
このタイプを作るのは精度の面で難しかったのだ

スチールスクラバーは抜いた。水洗いすると保水してしまうだろうから。なので、アルコールストーブとして使うとPressure Chamber内で爆発のリスクがある

赤いのはフィルター。使い捨てではない。アルミパイプの約半分に赤いシュリンクチューブを巻きつけたもので、ペーパーはアルミ部分に巻きつければ吸殻を容易に外せる

蓋が出来るのは何かと便利だ。飲料缶の樹脂コーティングはかなり強靭で、タバコの熱ぐらいでは全く変化せず、水洗いだけで綺麗になる。
Pressure Chamber上部に穴を開けてパイプを差し込み、水抜きとすると同時に、フィルターの収納にした


 



 




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