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最良のヴェポライザーはシーシャではないだろうか

巷では“加熱式”の煙草が話題で、専用スティックによるボッタクリ・アイテムのシェアが急増中だとか。そうした製品もヴェポライザー(Vaporizer)であり、その一特殊仕様だといえる。基本的には、ヴェポライザーは手巻き用やパイプ用のシャグ(葉)乃至大麻を加熱,蒸気化して吸引する汎用的なガジェットだ。
医療用の大麻吸引器が“Vaporizer”と呼称されたのが名称のルーツで、ペルシア文化のシーシャ(Shisha,水タバコ)の系譜にある。シーシャこそ加熱式煙草の源流である。
更に、蒸気化を直接的に狙った電子煙草(VAPE, Electric Tabacco)があり、ニコチンやフレーバーから成るリキッドを高熱で蒸気化して吸引する。欧米では人気だが、日本ではニコチンリキッドの販売が禁止されているからか市場は小さい。メーカに依るが高濃度の有害物質が含まれているリキッドが流通している

ヴェポライザーの売り文句にも“not Burn but Heat”などとある様に、燃焼と加熱が煙草の二大潮流で、加熱が今日的だというムードがある。話題になった契機のひとつに無害性が挙げられたのだが、これは各種医療機関や研究機関で否定された。タールがほとんど発生せずに部屋が汚れないなどの長所は幾つかあるようだ。
ところが、最近(2019年秋)、肺の疾患が急増した為に、アメリカでVAPEが規制される様な動きが出ている。
蒸気化する事が肺を壊す原因だという意見がある。安易に否定は出来ないが、そうであるなら、大昔からシーシャを吸引しているアラブ人達は特別な耐性でも持っているのか?

個人的には、VAPEのリキッドや加熱式の専用スティックに含まれる添加物が疑わしいと考えている。実際、毒性のある添加物を含む中国製リキッドが話題になった事もあるのに、平気で個人輸入している人達がいる。
加熱式の専用スティックも、吸ってみた事もあるが、煙草本来の味や香りでは無い臭みがある。オーガニックなシャグ(煙草葉)をヴェポライザーで加熱してみればわかる事だが、葉っぱの香りしかしない。紙巻き煙草と比べれば、シャグ(煙草葉)そのものを加熱して満足出来るだけの味や香り,キックを引き出すのは非常に難しくもある

また、温度を上げればキックは強くなるが、煙草本来の味や香りは落ちる。そして、有害物質,特にタール,は急増する

加熱方式に於けるそんな試行錯誤にあって、シーシャの安定感と満足度は別格で、流石は数千年の歴史と伝統の賜物と思わせる。
フレーバーは基本的に100%オーガニックであり、現在自作方法を思考錯誤しているところなのだが、その製法はほとんど料理である。具材はシャグと各種フルーツ,香草,ハチミツ等で、その味と香りは比肩するモノが無い。まぁ好みの問題ではあるけれど。
あまり話題になるなる事も無く一部の好事家にしか注目されないのは、その面倒臭さと持ち運びがほぼ無理である事が理由だろう。器具はもちろんフレーバーも市販されているが、右画像の様な大きな器具に熱した炭とフレーバーをセットして長時間に亙って吸引を楽しむというのは、現代生活での煙草としてはそぐわない。路上に絨毯を敷いて吸引している姿がお似合いだ

そんなシーシャを手軽に楽しみたい

以前、ヴェポライザーの自作にハマった事がある。シャグを加熱して吸引する器具の自作で、市販品も幾つか購入し、機器としての理想を考えてみたりした。それはそれで満足出来るモノで、手巻きと併用してたまに使っている。
これをシーシャのフレーバーに使ってみたい。もしくは、使えるように仕立ててみたい。
また、このページは電気電子工作のページのひとつなので、mod(VAPEやVaporizerの電源)にも焦点を当てる。コンパクトで汎用的な安定化電源という位置付けで紹介してみたい

最初に能書きを記した
 


 
ヴェポライザーの自作 >
電熱シーシャこそ理想的な加熱式煙草ではないだろうか
30th November 2019, since 21st February 2016
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はじめに
 
1. 評価基準
2. 加熱方式
3. 方式別構造
4. 市販品雑感
 
chapter1. mod(電源)
 
1. 市販品
2. 自作してみた
3. 安定化電源
4. 回路図
 
chapter2. ヴェポライザー自作
 
1. 方 式
2. 市販品流用
3. 特 徴
 
chapter3. 電熱シーシャ
 
1. 電気的リスク
2. エアフロー
3. クリーニング
4. 市販ヴェポライザー
5. フレーバーの自作
 
chapter4. 自作?アトマイザー
 
1. 市販品流用
2. 510コネクタ
3. 特 徴
 


はじめに


ヴェポライザーとしての評価基準を整理してみる。温度調整等のオペレーション機能や必要な温度範囲などの一定の水準は当然の前提として考える

・温度偏差
・容 量
・汎用性
・掃除の手間
・電力効率
・バッテリー

本当は第一に「味」がある。主観的な基準だが、確実にその善し悪しはあって機器によって全く異なる。
明確に味に差違が出るのは温度帯域で、高温ほど蒸気は多くなり相応の“キック”もあるのだがフレーバーは落ちる。ある程度の低温を保った方が葉本来のフレーバーはよく出てくれる。
次いで味を左右する大きな原因がチャンバー内の温度偏差では無いかと想像している。厳密に言えば詰めたシャグ全体での温度偏差である。少なくとも、味が良く出る出ないの差はこれで決まる。もちろん詰めたシャグの効率の善し悪しに直結する。
傾向として、低温度域でチャンバーの温度偏差を小さくするのは難しい。また、温度偏差の小ささはチャンバーの容量とはトレードオフにある。温度偏差が小さくても容量が小さければ満足出来ないだろう

汎用性は高いほどいい。ドライハーブ用のアトマイザーにも良い製品が出始めてはいる

掃除が簡単か如何かは重大な問題だ。これは構造と素材に依る。
シャグに熱を伝える部位は熱伝導性に優れた素材であり、その様な素材は通常汚れ易く焦げ付き易くもある。そうした部位が堅牢で露出が容易なら掃除は簡単かも知れない。また、対流方式(convection)であれば汚れ難い素材で構成しているかも知れない。
また、どこまで分解出来るかは徹底的なクリーニングの可否に繋がる

電力効率はランタイムを気にしないのであれば問題では無いし、電力容量が大きければ問題になり難い。電力効率は加熱方式と機器構造に依存する。程度の問題ではあるが、使用時にシェルが高温になるのは効率を損なっている結果だ

ヴェポライザーは電源や制御回路,チャンバー,マウスピースなど全てが一体で出来ている製品が多く、バッテリーはビルトインが圧倒的に多数だ。つまり汎用性が低い。そうした機器は全体が消耗品となる。そう考えればバッテリーが汎用品で交換が可能か如何かは問題では無い。それに多くの機器でヒータ部位は恒久的な製品では無い筈だ。
但し、バッテリーの交換が可能であれば、外出時に予備のバッテリーを持ち歩く事も出来る。そういう機器に得体の知れないバッテリー乃至ニセモノを、またメカニカルmodに生セルを使って、発火,爆発といった事故が多発しているので、メーカはユーザに交換させたくないのかもね

充電する事無くACアダプターなどで駆動出来れば尚良い。そう出来ればバッテリーに負担をかける事無く自宅での使用が簡単になる。機器としてそういう仕様にするのは簡単な事なのに、何故かそういう製品は少ない
 



コンダクションとコンベクションの2方式が有名だが、コンダクションにはインナーヒーティングとアウターヒーティングがあり、大別すると3通りになる。近い将来に登場するだろうインダクション方式も追加すると4通りになる

・インナーコンダクション
・アウターコンダクション
・コンベクション
・インダクション(IH)

コンダクション(conduction heating)は熱伝導方式で、インナーコンダクションはチャンバー内部にヒータがある、もしくはチャンバー自体がヒータであり、シャグを直接的に加熱する。アウターコンダクションはチャンバーの外部にヒータがあり、チャンバーを媒介して加熱する。
インナーコンダクションは熱効率に圧倒的に優れるのだが、ヒータのサイズや設置箇所などに工夫の無い製品が多く、局所的に加熱するだけであったり、加熱では無くシャグを燃焼させてしまったりするものが多い。チャンバーの素材にはステンレスなどの汚れ難く焦げ付きもしない素材を使えるので、一般に掃除は簡単に済むものが多い。但し、ヒータは焦げ付き易いだろうから剥き出しにしてクリーニング出来る事が望ましい。
アウターコンダクションはインナーコンダクションの真逆であり、熱効率は悪いけれどチャンバー内部の温度偏差を小さくし易い。チャンバーの素材はブラスのクロームメッキなどがほとんどで汚れ易く焦げ付き易い

コンベクション(convection heating)は対流方式で、エアフローと構造次第なんだろうと想像はするものの、使った事がないのでわかりません。電熱式では無くガス燃焼式で排気音が煩い製品があったりするらしい

インダクション(induction heating)は、コイルに高周波パルスを流す事で電磁誘導を引き起こし金属を発熱させる事でシャグを加熱する。円筒形のチャンバー自体を発熱させる事も可能だし、発熱させる金属片をシャグに突っ込んでもいい。高効率が期待出来る。また発熱させる金属形状によりチャンバー内部の温度偏差を小さくする事も容易だろう。ヒータは消耗品では無く半永久的に使える。掃除も簡単になる筈だ。
理想的に思える方式だが市販品は極めて稀だ
 



コンダクション方式には適切となる構造上の特徴がある。細長い円筒形のチャンバーが有利なのだ

アウタータイプでは、熱伝導媒体となるチャンバー全体を外側から加熱するのであれば、細長いほど内部の温度偏差を小さくする事が出来る

インナータイプでは、温度偏差を小さくする為には、更に、細長いチャンバー自体がヒータであるか、もしくは、チャンバー形状に適合した細長いヒータが必要になる。ブレード形状や棒状のヒータを、詰めたシャグに刺し込むものや、ヒータをチャンバー内側に円筒形状に内張りするといったものが優れる。
蛇足だが、円筒の底に剥き出しのコイルやセラミックドーナツヒータが位置するタイプの製品は、加熱も局所的にしかならない。それどころか、大抵は加熱では無く燃焼させてしまう。このタイプは言葉の意味からしてもヴェポライザーとは言えないだろう

コンベクション方式は、熱風がシャグ全体を通過する事に尽きる。構造は一概に良否を決するものではないだろう

インダクション方式は、最も自由度が高いと思うのだが、発熱体となる金属がシャグに刺し込む棒状もしくはシャグを詰める円筒形の形状になる事を考えれば、これも細長い円筒形のチャンバーが有利なのだろう

焦点は、詰めたシャグ全てが発熱部位から近い事ですね
 



市販品では、Arizer ArGo, Elevi IPRO DR60, Davinci IQ, Boundless CFC, Herbstick Eco,この5機種を所有している。そして、この順に優れていると思う。但し、Elevi IPRO DR60については、純正のmodを使わない限りに於いてだ。
他にも気になる製品は多々あるのだが、自作のヴェポライザーをメインにして更にこれらの機種があると十二分という感じがしてる

但し、シーシャのフレーバーに使える市販品のヴェポライザーは皆無だ。唯一modとatomizerが別個になっているDR60で、少しの工夫で使えそうではあるが(後述)、チャンバー内の液状フレーバーが故障の原因になりはしないか心許ない


Arizer ArGo

ヴェポライザーとしては理想的と言えそうな機種。シーシャに興味が移ってから購入したので放置状態になっている

・喫味が良い
・掃除が簡単
・18650バッテリーは交換可能

発売当時、メーカ直販で送料込みで202$のオフセールとなっていた
manufacture's site : https://arizer.com/argo/


Elevi IPRO DR60

セラミックヒータ使用のインナーコンダクション方式で長所は多く、ハイパワーなイメージが定着している

・チャンバー内の温度偏差がほとんど無い(特筆すべき長所)
・シャグ量に対して蒸気量が多くキックは強い
・汎用性は非常に高く、汎用の“510”modも使え、バッテリーも交換可能
・掃除も簡単でメラニンスポンジ等で新品の様になる
・純正modの制御プログラムは凝っているが失敗作だろう

低温でドライブする事がほとんど不可能で、シャグ本来のフレーバーを引き出すのは難しい。最低温度に設定し、1ヒートを数十秒にして間欠的にヒートアップしても安定的な低温を維持するのは難しい。
これは、純正(付属)modの制御上の欠点であり、別様の“510”modを利用する事で解決する

実際、温度偏差が無い事は、低温でシャグのフレーバーを引き出す最良の条件なのだから

使用する“510”modは、ファイアーボタンだけでは無く、出力を持続的に維持出来るスイッチ乃至モードがある事が望ましい。この辺りはVAPEとは使い方が異なる。制御方式はVV乃至VWとなるが、その方が望みの温度へ持っていくのも容易である。また、低温つまり低出力でドライブする場合は、吸引ペースを少し変える事で温度を変化させる事も簡単になる


Davinci IQ

Davinciシリーズの高級イメージを引き継ぐ製品であるが、特筆する様な欠点も無いが長所も特には無い。可も無く不可も無くといった製品である

・チャンバー内の温度偏差が結構大きく無駄になるシャグが出る
・シャグは多く詰める事が出来るので相応のフレーバーやキックを引き出す事は出来る
・バッテリーは交換可能
・バッテリー容量に対してランタイムが短い
・チャンバー底の掃除がかなり厄介である

値段なりの価値があるのか非常に疑問になる製品であるがテイストはまぁまぁ良い


Boundless CFC

コンパクトでデザインもいい。カフェなどで使っていても目立たない雰囲気

・低温フレーバーから比較的高温でのキックを引き出す事まで守備範囲は広い
・バッテリーは残念ながらビルトインタイプ
・掃除は簡単
・マウスピースが割れてしまう報告が多々ある

オールマイティで何かとバランスの良い製品だと思う。マウスピースのひび割れは耐熱成形材で簡単に修理する事が出来るが、Boundlessの保証は非常に手厚いので、マニュファクチャラーから直接購入してユーザ登録しておくのが無難だろう


Herbstick Eco

値段の割りにはマトモに使える製品で、ヴェポライザーを初めて試してみようという場合にはいいと思う
 




chapter1. mod(電源)


modは、VAPEでは汎用的な電源としての標準アイテムであり、ヒータ(電熱コイル)とタンクから成るアトマイザーを装着して使用する。コネクターには規格があり“510”規格がデファクトスタンダードになっている

ヴェポライザーはほとんど一体型の製品ばかりなので、modを使う事は稀かも知れない。良い製品もあるんですけれどね

modには、大別してメカニカルとテクニカルの2種類がある。テクニカルは、電子制御機能があるもので、VV(Variable Voltage), VW(Variable Wattage), TC(Temperature Control)などの機能がある。メカニカルというのは制御機能が無い、要するに単なる電池ボックスだ。
メカニカルに生セルのリチウムマンガン(IMR)を使う暴挙も跡を断たない。IMRは数十ワットもの出力が可能なのだ

アトマイザー(ヒータ)のインピーダンスは、黎明期には数Ωであったが、近年は1Ω以下(SubOhm)が主流である。modも出力電圧に範囲があるので、組み合わせには注意する必要がある

3機種所有していますが、リチウム系バッテリーは正直怖いです。使用している機種は、バッテリー電圧の表示機能があるので、過放電のリスクがまず無い。比較的にだけれど安心して使用している
 



リチウム系のバッテリーは怖いので、ニッケル水素充電池を使って安定化電源を作った。
目的は、インナーコンダクションタイプのヴェポライザーの電源にする事なので、出力は数Wで十分だ。単三型を4本も使えば余裕も十分にあるし、電力密度,体積当りの電力容量はリチウム系に比してさほど遜色も無い

LMR62421使用の昇圧型スイッチング電源モジュールを使った安定化電源で、入力電圧や負荷の変化にかかわらず最大24Vまでの一定の電圧を可変出力出来る。mod風に言えばVV(Variable Voltage)となる。
サイズは有名なiStick picoとほぼ同じで、modとしては最小クラスになる。メインスイッチで電池とACアダプタの切替えが出来、出力電圧もしくは入力(電池乃至ACアダプタ)の電圧を表示出来る。ニッケル水素充電池を使うので、適切な終止電圧を下回らないように電圧を監視する事が出来る

もうひとつ、OKL-T/6-W12N-C使用のスイッチング電源モジュールを使って、ほぼ同様の機能,同じデザインの安定化電源を作った。こっちは、出力電圧が0.9V〜5.5V,6A/maxで、サブオームのアトマイザーにも使う事が出来る

コネクタは電子機器用の標準的なジャックにした。“510”規格のアトマイザーにコネクトする場合の為にアダプタも作っておいた


右画像。更に、AC電源専用のmodを作った。コネクタは“510”。
電源モジュールはOKL-T/6-W12N-Cで、サブオームのアトマイザーを30Wまでドライブする事が出来る
 


3. 安定化電源

汎用的な安定化電源でもあるのでこんな事も

確か、modに差し込んで使えるランタンなんて製品も販売されている。
要するに、modとは超小型モバイル安定化電源なのだね



AC電源専用のmodには、“510”の他に#2ジャックを出力用に追加して、自作のヴェポライザーでも使えるようにした
 


4. 回路図

LMR62421使用のmod

入力電圧は2.7〜5.5V,出力電圧が3.5〜24Vで、ハイインピーダンス用のmodとなる。
最大出力は10W程度と低いので熱効率に優れるヴェポライザーに限る。
NiMHを使う場合には、適切な終止電圧があるので、出力だけではなく、バッテリーの電圧をも監視出来るようにしてある
 



OKL-T/6-W12N-C使用のmod

入力電圧は4.5〜14V,出力電圧が0.9〜5.5Vで、サブオームでも使用可能なmodとなる。
最大出力は約30W程度とハイパワーであるが、高出力が必要な場合はACアダプタなど相応の外部電源で駆動する事になり、NiMH AA4本で駆動出来るのは10W程度までのヴェポライザーに限る。
NiMHを使う場合には、適切な終止電圧があるので、出力だけではなく、バッテリーの電圧をも監視出来るようにしてある
 



ACアダプタ専用mod

自宅ではACアダプタで使いたい。充電池を無駄に使って寿命を損なう必要も無い。最大約30Wまで出力可能なので、大抵のヴェポライザーはもちろんVAPEにも使える。VAPEはやんないですけども

既述のOKL-T/6-W12N-C使用のmodとほぼ同じである

入力電圧は4.5〜14V,出力電圧が0.9〜5.5Vで、サブオームでも使用可能なmodとなる。最大出力は約30Wで、相応のACアダプタを使う。チップの特性上、12V, 3A以上のモノが望ましい。
駆動スイッチとしてスライドSWとタクトSWを並列に入れてある。これは、ヴェポライザーの場合にはスライドSWを、VAPEの場合にはタクトSW(所為ファイアーボタン)を使えるようにする為である
 




chapter2. ヴェポライザー自作


シャグ(煙草葉)のフレーバーを引き出す為には低温でドライブするのがベストだ。好みの問題ですけどね…。
但し、チャンバー内のシャグの温度偏差を小さくするのは難しくなる。そこで、棒状のヒータをチャンバーに(詰めたシャグに)刺し込む事に依るインナーコンダクション方式とする。チャンバー形状は細長いほど有利になる

これは、熱が外部に逃げ難い事もあって、エネルギー効率は非常に高くなる。アウターコンダクションであれば20〜30Wは欲しいところを、数Wで同等の加熱が可能になる。そして、低出力のニッケル水素充電池でも十二分に実用になる
 



チャンバー及びマウスピースの部位は、市販品を流用する。
ドライハーブ用の“510”規格コネクティングのヴェポライザーである。このタイプの製品は、チャンバー底部にコイル乃至セラミックドーナツヒータを剥き出しにしたものが多く、局所的に加熱するだけで使い物にならない。このタイプのモノのヒータとコネクタのVdd接続端子を抜き取り、そこにヒータを組み入れる。ヒータは自作

2〜15$程度で海外通販出来るので、使えそうな感じのモノを適当に買い入れ、試行錯誤を経て選別と組込みを行なった結果が右画像に示すパーツ

modとはケーブルで繋ぐ事にした

ロボティクス用のケーブルで非常に柔らかく数万回の屈曲に耐える

ヒータは先端部が高温になる

ヒータと金属部位を接触させない為に、510コネクタで標準的に使われている耐熱ゴムでヒータを支持する

ほんの5W弱で手巻き用のシャグを十二分に蒸気化してくれる。味も良くシャグの甘さもよく出てくれる。低温と高効率ならではの喫味の良さだと思う
 


3. 特 徴

・掃除が簡単で新品同様にするのも簡単
・低温ドライブならではの喫味の良さ
・電力効率が良いのでランタイムが長い
・充電池に負担をかけずにACアダプタも使える
・発火,爆発のリスクが無い
・スペアのバッテリーを持ち歩ける

チャンバーはステンレス製なのでクリーニングは至って簡単で水を流すだけで済む感じだ。ヒータは焦げ付きが残ったりするのだが堅牢な作りなので小刀で削り取る感じで綺麗に出来る

こいつの最大の特徴は熱エネルギーの高効率にある。外部に熱が逃げ難いのがその最大の理由だが、この事で、低温でじっくり加熱する事が容易く、喫味も良い。短時間の放置も問題無く、吸引頻度によって温度を微妙にコントロールする事も出来る。
機種によっては設定の温度帯域にかかわらず低温でドライブする事が困難なモノも多い

尤も、詰めたシャグに棒状のヒータを差し込むというのは、市販品としての仕様にはなり得ないのだろうと思う
 




chapter3. 電熱シーシャ

残念ながら市販の電熱シーシャは無いので、自作のヴェポライザーでシーシャのフレーバーを使ってみる。たまたま、その適性があったので

以下では特に触れないが、シャグと比較してフレーバーは蒸気化させるのは非常に容易い。さほどパワーの無いヴェポライザーのアトマイザであっても、シーシャとしてなら十分に使える事が多いだろう
 



フレーバーはペースト状である。見た感じは高菜などの漬け物である

チャンバーと電気回路は完全に分離していなければ、電気的なリスクが高いだろう。ヒータ接点や基板にフレーバーが浸透すれば、故障の原因になるばかりか、ショートしてしまう可能性も十分にある。電源の制御機能にも依るが、数十Wの出力が可能なリチウムマンガン等のバッテリーをショートさせる様な事があれば、発火・爆発は免れない

電源とチャンバーが一体構造のヴェポライザーは問題外だ。
また、modとatomizerが分離式であっても、atomizer内部でショートする可能性はある。電源制御の信頼性の高い製品であるなら、理屈の上では過電流は無い事になるが、…

VAPEではリキッドを使うので、ペースト状のフレーバーを使っても構わないのでは無いか?
多分、電気的なリスクは無いだろう。しかし、コイルは簡単に焦げ付いて使い物にならなくなるだろう。それに、リキッドと違ってフレーバーは粘性が高いので、局所的に加熱されるだけの結果になってしまう

たまたまだが、自作のヴェポライザーは、チャンバーと電気回路は完全に分離している。ヒータ接点にフレーバが浸透する可能性も無い
 



フレーバーはペースト状である

左画像は、チャンバーにフレーバーを詰めたところで、中心に見えているのは棒状ヒータの先端部位である。見るからに、エアフローは期待出来そうに思えないのだが、意外にもシャグと変わらない程度に良好なエアフローを得られる



右画像は、DR60のチャンバーにセットする金属パイプにフレーバーを詰めたところ

金属パイプはジャストフィットしている事が望ましい。これにより、チャンバー内側の汚れや焦げ付きを防止する事が出来る。少なくとも、シャグの利用に於いてはその効果は大きい

これもまたエアフローは望めないように見えるのだが、自作のヴェポライザーと同様に、シャグの場合と変わらない良好なエアフローを得られる
 



市販のヴェポライザーでシーシャのフレーバーを使う場合にはこれが大きなハードルになるだろう

フレーバーに熱を伝導する部位は確実に焦げ付く

自作のヴェポライザーに於いては、チャンバー内側は全く問題無いのだが、棒状ヒータが焦げ付く。これは堅牢な金属パイプで、画像にある様に剥き出しに出来るので、小刀で容易に削り取る事が出来る。たいした手間にもならず、新品同様にしてしまえる

シーシャのフレーバーは、シャグと比較して、加熱し易い。ペースト状である事で、熱伝導性が高いのだと思う。
左画像は、吸引後のフレーバーで、真っ黒の炭と化している



DR60にセットした金属パイプはステンレス製で、シャグの場合は全くと言っていいほど汚れ難く焦げ付きなど考えられなかったのだが、それが内側だけでなく、チャンバーとの間の微かな隙間まで焦げ付いてしまった。
この結果、DR60のチャンバー内側に焦げ付いた薄い炭を削り取らなければならなくなった…。そうなっても構わない積もりで使うのなら、シーシャのフレーバー向きだと言えるかも知れない
 



以上より、市販ヴェポライザーをシーシャとして使う為には、次の2点をクリアしている必要がある。いずれも構造をよく精査すれば正しい評価が可能だろうと思う

・電気的なリスクが無い事
・焦げ付きを容易に落せる

電源部とチャンバーが一体型のモノは避けた方がいい。modとatomizerが個別の製品でも、ヒータ接点へのフレーバー滲透のリスクはある。少なくとも電源はテクニカルmodで、過電流を遮断出来るモノを使うべきだろう

焦げ付きを容易に落せるかどうかは、どこまで分解清掃出来るかによる。熱伝導部位が円筒形の製品が多く、そうしたモノのクリーニングは困難だと思った方がいい。DR60の様な製品も例外では無い。
わたしは使った事がないので想像でしかないが、コンベクション方式の製品はさして汚れずに使えるのかも知れない。また、IH(電磁誘導)方式の製品も発熱パーツを容易にクリーニング出来る可能性が高い。ただ、一体式では無くアトマイザー単体でのコンベクション方式やIH方式の製品は聞いた事がない。造ることは可能だろうけれど、アトマイザーは様々な回路が付随した複雑な構造になるだろう
 



シャグをベースに、少量のグリセリンとハチミツ,フルーツ等を混ぜ、適度に蒸す。と、言えば簡単そうだが、市販されているフレーバーの様に芳醇な味と香りは、勘を頼りにクッキングしているだけでは実現出来そうも無い

ちゃんとしたレシピを探して、試行錯誤を繰り返して、チャプターを改めて立ててみようと思う

市販品では、アルファーヘル(Al Fakher)やゴールデンナリヤ(Golden Layalina)のフレーバーが市場の評価が高い。特にアルファーヘルは比較的新参メーカーながら、100%オーガニックである事や味と香りに定評があり、突出して人気がある様だ。いずれもドバイのメーカー。
アメリカ製のフレーバーも,フマリ(Fumari)やスターバズ(Starbuzz)が有名で,市場に出回っているけれど、評価はやや落ちる感じ。スターバズは“色モノ”メーカーで普通は無い様なフレーバーを多く生産している。ひょっとして化学香料を使いまくりなのではないかとも…。
善し悪しはもちろん、銘柄やフレーバー種次第ですけれど
 




chapter4. 自作?アトマイザー

 



右画像は、市販品のヴェポライザーであるHerbstick Ecoを分解したもの。チャンバー部位,電源制御部位,バッテリー部位の3パートに分解している。必要なのは、チャンバー部位のみ

Herbstick Ecoは低廉志向のヴェポライザーであるが、喫味はまぁまぁ良くてチャンバーの性能は決して悪くは無い。
ビルトイン・バッテリーはすぐに駄目になるし、蒸気が制御部位の基板を直撃する事により壊れるという報告もあるので、決して御薦め出来る機種では無い。格安ではあるが…
 



チャンバーに標準コネクタである'510'を取付ける。
ケーブルを'510'にハンダ付けする部分は、蒸気に晒されないように完全に過剰にコーティングしてしまう

インピーダンスは0.7Ω。これでサブオームのアトマイザーの出来上がり



コンパクトだし、性能は良いし、これだけで販売すれば売れるんじゃないだろうか
 




チャンバーの方式はアウターコンダクションであり、熱伝導部位はブラスのクロームメッキだろうと推測する。
シャグであろうがシーシャのフレーバーであろうが焦げ付いてしまう。
シャグの場合はひつこい焦げ付きが残り削り取るのも面倒なのだが、意外な事に、シーシャのフレーバーの焦げ付きは小刀で簡単に取り除く事が出来る。その場合、徹底的に炭化させる事である。中途半端に水分を残すと焦げ付きをスクラッチするのはその分だけ面倒になる

市販のmodを使う場合は、VW(Variable Wattage)であれば15〜20W程度で、VV(Variable Voltage)であれば3V前後で、VW(Variable Wattage)であれば10〜15W程度で、VV(Variable Voltage)であれば2.5V前後で、ドライブする

シーシャのフレーバーは出来るだけ低温で蒸気化する方がいい。
高温でも良い味は出てくれるのだが、有害なタールやベンジンが急増する事が知られている。それさえ守っていれば、通常は、紙巻き煙草よりも有害物質は少ない
 




chapter5. フレーバーの自作

 



 



 



 




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