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tail lamp has to be lovely

LEDを点滅させるにはどんな回路が良いのだろうか。
検索すれば、マルチバイブレータや555を使った回路が多く見られるのだが、用途を特定しているものは滅多に無く、定番的な点滅回路として紹介されている事がほとんどだ。これはLEDの“実験”が電子工作の入門として扱われ紹介される事が多いからだろう。
特定の用途としてそれらが合っているのかどうかは別の問題だね

テールランプに使うべく求められる要件を想像すると、被視認性,効率(ランタイム),点灯パターンの面白さ(?)ぐらいだろうか。もちろんトレードオフにより、効率が悪くても選択したい回路なんてのもあるのかも知れない

ここでは、様々な回路を紹介する

個人的には、点滅する光の美しさなんてものにもこだわってみたい。
強く瞬間的な発光が複数のLEDの点滅により位置を変える様は、LEDならではの美しさがあると思う

最初に短い能書きを記した。具体的なランプの製作例は新しいモノの順に記す


 
自転車用テールライトの自作回路集
since 24th August 2007
-- various circuits as multi-vibrator, ring, relaxation oscillator, 555, and so on
 
はじめに
 
1. 被視認性と消費電力
2. 美しい発光
3. 充電池に関して
 
発振を利用してチャージポンプ
 
1. ケーブルを引き出し小さなフロントへ
2. オープンコレクタで点滅制御するICの流用
3. 回路図
4. 製作画像
5. 前後の配分
6. セルを3本に
7. フロントの交換(作り直し)
8. 電圧降下の監視
 
オープンコレクタで点滅制御するICの流用
 
1. ダイソーテールランプのIC
2. 回路図
3. 製作画像
4. 瞬間的発光
 
リング回路
 
1. 回路図
2. プログラムの最適化
3. 製作画像
4. 起動時のトリガー
 
タイマーIC“LMC555”
 
1. 回路図
2. 製作画像
3. 定番IC“555”なのだが…
 
2: マルチ・バイブレータ
 
1. 回路図
2. プログラムの最適化
3. 製作画像
 
弛緩緊張&キャパシタ充放電昇圧
 
1. 回路図
2. プログラムの最適化
3. 製作画像
 


はじめに


点滅に於いて、被視認性を高めながら消費電力を小さくするのは可能である。原則的には、点灯時に十分な電流を流しながら点灯時間を短く瞬間的にする事で、高い被視認性を維持しながら消費電力を抑える事が出来る。

例えば、0.3sec周期で点滅させる場合に、同じ定格電流を流すのであれば、点灯時間が0.1secのものと0.05secのものは、被視認性に於いてはさほど変らないが、消費電力は2:1の比になる。
0.5sec周期で0.2sec点灯のものよりも、0.3sec周期で0.1sec点灯のものの方が、被視認性に於いて圧倒的に優れながら消費電力は小さい

といっても、点灯時間の短さには限度がある。突き詰めた実験はしていないが、多分、0.05secぐらいがリミットだろう。これは回路とその(所謂)プログラム,印加する電圧や電流等にも依る

そして、こうした要件を調整可能なディスクリート回路は、弛張回路(relaxation oscillator)だろう。ディスクリート組みとしては唯一のものになると思う。もちろん、点滅周期を余りに速くすると点灯時の電流を十分に流すのが困難になったり、瞬間的な発光だからといって大きめに電流を流したりするのが困難になるなど、その調整はなかなか難しい。しかし、バイブレータやリング回路などと比べると被視認性に優れながら圧倒的に省エネになる回路を作る事が可能だ。むしろバイブレータやリング回路は効率に劣るので止めたほうがいい。
もし、シビアに調整していく必要があれば、AVR, PICといったプログラマブルなICを利用するか、もしくは、都合のいい特性を持つ既製品ICの流用でしょう
 



LEDならではの瞬間的な発光は美しい。
発光体(LED)の物質的な存在感があまり感じられなくなり光だけが印象に残る。などと言うと大袈裟かも知れないけれど、ある程度の照度を保ちながらとても短く発光するLEDは美しく見える。と、思う。
あまりに発光時間が短過ぎると十分な照度を得られないのだけれど

これが出来る出来ない乃至調整可能かどうかは、回路及びそのプログラムに依る
 



充電池は永く使いたい。最も重要なのは過放電でセルを傷めない事だが、ライトなどに使うとついついやってしまいがちになる。しかも保安部品となればそうせざるを得ない状況にもなりやすい。
最近はNiMHだけでなくLi-ionを使ったライトも多い。Li-ionは適切な保護回路があれば終止電圧までドロップすれば放電停止してくれるが、保安部品としては交通上のリスクが唐突に発生する事になる。だからと言って保護回路無しのLi-ionで過放電させると発火,爆発のリスクがある。
体積あたりの電力容量でLi-ionに迫っている事もあり、NiMHを使うのが無難で妥当と思う。自作ですからそうしたリスクは回避したい

リスクがほぼ無いからといってNiMHを過放電させてしまうと寿命が極端に短くなる。
NiMHの放電特性は容量が減少しても電圧降下が小さいので、光量が減衰したとわかる程に電圧降下が起こった時点ではとっくに終止電圧を下回って過放電していると思っていい。特に昇圧回路を使った機器では電圧降下はわかり難い

要は交換のタイミングがわかればいい。
バッテリーのインジケータがあれば最良だ。簡易に、終止電圧に近付いたら警告ランプが点灯するでもいい。そうしたモノが無ければ、使い慣れて(?)、少々早目に交換する事で過放電は免れる。但し、早目に交換した場合に、継ぎ足し充電するとメモリ効果を引き起こすので、放電機能のある充電器を使う様にすればいい。放電機能とは適切な終止電圧で停止してくれる機能である。
余談だが、終止電圧とは、一定の負荷の場合に放電を停止するべき電圧の事で、負荷の大きさによって変化する。
詳しくは、このページ「discharger」を参照して欲しい
 




発振を利用してチャージポンプ

フロントとテールをひとつのシステムとして作ると、小さなフロントを作る事が出来る。バッテリーと回路はテール側に置く。特にロードバイクなどのスポーツ車ならハンドル周りなどフロントはスッキリさせておきたい

バッテリーや回路を共用する事のメリットはいろいろある。まぁ想像してみて下さい。本当は、セキュリティアラームも統合したかったんだけれど、それを含めてサドル下に収めるのに都合のいいシェルがなかなか見つからなくて…

左画像は、これから作ろうと思うフロントライトのパーツであるが、ホルダーから取り外しが可能にするものとしては、最小クラスになるだろうと思う。バッテリーや回路は、テールランプとしてサドル下に組込むユニットに収めてしまう。
もちろん、ホルダーに直接にLEDを埋め込んでしまう事なども出来るのだが、そこまで小さくする理由も無い

デメリットは、ケーブルをトップチューブ沿いに取り回さなくてはならない事かな。スプラインで取り回す事にする

その気になれば、アウターケーブルをホールドするとても小さな金具などにLEDを直接に取り付けたり、サイクルコンピュータのバンドに直接に取り付けたりする事も出来るかも知れないね。
小さなアタッチメントを作成すれば、取付位置の自由度も大きく出来るだろうと思う。例えば、面実装の高照度LEDをヘッドに貼付けるなんてのも良さそう。

ま、そういうのは今後の課題とでもしておいて、――
否、折角なので、ホルダーのアタッチメント部位をサイクルコンピュータ用のバンド下部に移植する事にする。そうすれば、取り外しも可能ながら、ヘッド周りがよりコンパクトなものになる。これはヘッドライト単体の製作でも行った方法で、既に移植済み
 



7種の点滅パターンがあり、100均のテールランプやピカピカ棒などのオモチャに使用されているICを流用する。
また、ピカピカ棒の方が新しいモノで、制御は4系統あり、これは前後に振り分けるのに都合がいい。100均のテールランプに使われていたのは、3系統のICで、この場合には、少ない本数で発光する分をフロントとテールで共用するといいと思う(今回の例では1本発光を共用するなど)

新旧どちらも足の数は同じで、3系統に対して5本使っていたのが、4系統で4本に変化した。NCが一本あるのは拡張用だろうか。また、耐圧も上がった様だ(上限の実験などはしていない)。
基盤の材質も良くなった感じで、以前のモノより薄くてやや幅も狭くなった

十分に余裕を持たせてカットした(右画像)。実装時にはもう少し小さくする

このIC,テールランプに使われていた方のIC,についての詳しい説明を、このページの「オープンコレクタで点滅制御するICの流用」に記しているので参照されたい
 




フロントとリアで使う系統を分ける。
狙いは、特別に昇圧回路を用意せず、ICの点滅を利用してチャージポンプとする。この事で、ホワイトやブルーLEDでも、2セルを絞り尽くすまで使い切る事が可能になる。ポイントは以下の4点

・IC点滅利用によるチャージポンプ
・切替えスイッチ一発でON/OFF
・望みのパターンで固定(Tact SWで変更可能)
・電源の瞬断防止(振動しますから)


このICによる1フラッシュはとても短い瞬間的なものなので、ブリーダは必要ない。効率も良いと思う

リアにはブリーダを入れてやっても良かったかも知れない(?)。その辺りは好みの問題だが、ブルーLEDは照度の割りに被視認性は非常に高いので、入れた方がいいかな…
 



例によってブレッドボードでテストした。最初は昇圧回路を用いてみたのだが、この昇圧回路と中華ICの相性(?)が悪いのか、完全に消灯してくれず、期待するように点滅してくれなかった。元の製品の電圧とほぼ同じ筈なんですけども…

ブレッドボードに原因があるのではないかと考え、なかば組み上げたのだが、テスト同様にうまくいかなかった。
そして、点滅を利用したチャージポンプに急遽変更したので、以下の製作に於いて、ブレッドボードでのテストは行っていない。本来はやっておくべきだけどね…


ボードを組み上げつつ(右画像)、動作チェックしてみる





電池ボックスサイズより少し基盤を大きくとってパーツを載せた


フロントへのケーブルは3本必要で、抜き差し可能なコネクタを取り付けた。Vdd + 2系統のコレクタ












フロントへの出力を無くし、リア単体としても使用可能


フロントのLEDは俵の様に積んでみた。パターンによっては上下の光の移動もあって面白い





フロントにセットしてみた(右画像)





サイクルコンピュータのホルダーの下にアタッチメントを取り付け、そこにフロントをセットする。極めて小さいフロントライトになる


ドーム状のアクリルカバーは、後部をシルバーに塗ってやる事で前方への照度を高める事も考えたが、このままも面白い。
真横への照度は低いが、それなりに被視認性もある





リアをサドル直下にセットしてみた


瞬間的な点灯によって点滅するブルーLEDはとても美しい。画像で伝えられないのが残念…
道路交通法違反という説もある
 




こうなった


LEDの直射は眼にきつい事もあり、リアには抵抗を入れた。
今迄の様々な回路実験から言える事は、テールランプとしてのブルーLEDには定格電流の半分も流せば十二分な被視認性が確保出来ること。それ以上の照度になると、むしろ直射では眩し過ぎるぐらい(ブルーのIVはたったの10,000mcdですら。ホワイトは25,000mcd)

点滅利用のチャージポンプなので、効率も良いと思う。リアのブリーダによって、フロントへの配分に余裕も作れるし、ランタイムも長くなるだろう。もちろん、フロントにも入れて制御してしまってもいいのだが、無くても問題無い
 



この回路図は、フロントにPowerLEDを追加、テールに赤色LEDを4灯追加し、セルを3本に増やす前のもの


フロントにPowerLEDを追加し、コンスタント点灯させると、テールの青色LEDが消灯してしまった…。電圧降下です。右画像は、砲弾型白色LED3灯をアタッチメントに横並びで埋め込み、PowerLED部位を被せる前のもの
同時に、テールランプの砲弾型LEDとして赤色LEDを4灯追加し、青と赤で切替えられるようにもした。たまたまだったけれど、この赤色LEDは、PowerLEDをコンスタント点灯させても何の問題も無かった

コンスタント点灯は滅多に使わないけれど、折角の機能で問題無く使えるようにする為に、セルを2本から3本に増やした




これはテールランプ部位。サドルに仕込む

AA2本用の電池ボックスを3本用に交換。
LEDが並ぶ側に迫り出す格好



PowerLEDのコンスタント点灯時にも電圧降下による青色LED消灯が起こらなくなった






バッテリー消耗時にどうなるかはわからないけれど、PowerLEDのコンスタント点灯はあまり使わないものなのでよしとする



電源電圧の変化に伴い、PowerLEDの点滅時の1フラッシュの発光時間が長めになってしまった。照度は十分なのだが、この結果、高速な点滅が不可能になり、ランタイムが短くなる。
これは弛張回路のコンデンサー容量や抵抗値などで調整出来る。面倒なので放置状態ですけど…
 



3セル(3.6V)で、効率良く、照度を維持しながら1フラッシュが適度に短くなる様に。前に作ったのが駄目だった訳…


PowerLEDの電流を制御する為の定電流回路も無ければブリーダも無い。
電源電圧の3.6VをHT7750で5Vに昇圧し、それをそのままPowerLEDに流し込む。電流は、コイルで制限する。やっちゃいけない方法なんだろうと思うけれど、まぁ上手く動いてます。効率いいんじゃないのかな(笑)…

旧来の砲弾型LEDを使用する部位は、以前と同様にアダプターのアタッチメントを利用した。今回は3mm型を4灯使用した。最近の高照度LEDは3mmでもかなり明るい

回路図には描かなかったが、2回路2ポジションのスイッチを取付け、PowerLEDと砲弾型LEDの切替えを一発で可能にした。
砲弾型LEDの方へスイッチを入れ、更に、PowerLED側の固有のスイッチを入れる事で、両方を点灯させる事も出来る

 



降下すると警告ランプが点灯する。なんてのは理想だけど部品点数が増えてしまうので却下。安直に、バッテリーの終止電圧に達すると、消灯してしまう小さな赤色LEDを取付けた。
電圧降下は負荷の大きさに依るので、PowerLEDのコンスタント点灯を基準にした

具体的には、Vdd, GNDの間に、ツェナーダイオードとブリーダ,LEDを直列に繋ぐだけ。数mAも流せば十分に確認用に出来る
 




オープンコレクタで点滅制御するICの流用


いきなりピンボケのバラシ画像だが、このダイソーのテールランプは、出力は3系統に分化しており、赤色LEDを5本ドライブする。点灯/点滅も7パターンもある。
基盤にモールドされたIC,通電ゴムによるタクトスイッチ,しっかりしたシェルにレンズの加工、これが100円で売られている。
(1系統のLED3本しかない低機能のものと間違う事なかれ)

7パターンの1つコンスタント点灯モードでは、発振させることで省電力ドライブしている。尤も、ブリーダがないので、発振させないとLEDが焼き切れてしまうだろう

このオリジナルのICは様々な商品に使われたようで、ピカピカ棒など、電気小物で使い回されている。
それどころか、最近は自転車アクセサリーを製造している幾つかのメーカーに供給している様で、同じ仕様のものが千数百円の価格で販売されてもいる。
但し、そっちは法令の赤色を主張したシェルになっている

街でも良く見掛けるライトなのだ。中華製侮り難し

しかし、優れているのは設計だけである。中国製ICの最大許容電圧の安全マージンはほとんど無い。このICも3Vを超えると、例えば5Vも印加しようものなら、破壊されてしまう可能性が高い。つまり、白や青のLEDはそのままでは流用出来ない。
それに、7つものパターンをタクトスイッチで切替えて使うのも、実用的とは言い難い。頑張り過ぎたのか…。使用する度にスイッチを“何度も”押してON/OFFするのは面倒極まりない。また、使用時に衝撃を受けて電源の瞬断が起こると、ICはリセットされ消灯状態になってしまう

こうした使い難さをクリアし、中華ICの良いところだけを取り出してみたい
 



狙いは、以下の通り――

・ブルーLEDの使用
・切替えスイッチ一発でON/OFF
・望みのパターンで固定(Tact SWで変更可能)
・電源の瞬断防止


ブルーLEDを使うには3.6Vもあれば十分で電池駆動なら3セルあればいいのだが、昇圧回路を利用して、セル一本で駆動させる。回路図の右側が昇圧回路で携帯用充電器のモノを流用した。
テールランプであればさほど照度を高くする必要は無く、3VでブルーLEDを発光させる事も出来なくはない。しかし、2セルだとドロップダウンした時に電池残量が十二分にあっても点灯しなくなってしまうかも知れない。昇圧回路を使う事で、電池を絞り尽くし、更には軽量化も実現出来る

昇圧された電源をICのVddに印加すると破壊する怖れがある。はじめはレジスターで分圧して駆動しようかとも考え、カット&トライで幾つかのレジスターで試してみた。そこでわかったのは、このICは負荷電圧1V弱でも駆動出来てしまう事だった。
但し、電圧が下がると、点滅周期が遅くなる。特に負荷電圧1V前後で急激に遅くなってしまうのだが、パターンを選べばそれも問題では無くなる

図のように、昇圧回路によってブルーLEDをドライブしても負荷は極めて小さい。試しに、放電器で0.9Vまで消耗させたセルで駆動させても、負荷電圧で1.0Vを超えている(ブリーダが特に大きい訳では無い)。リバウンドしてるぐらいだった。
つまり、1フラッシュの発光時間が極めて短いのだ

そこで、ICにはセルから直接に電源供給する事にした。余程消耗させなければ、点滅周期が遅くなり過ぎる事も無い。充電池の取り換え時期のサインと捉えようにも、点滅周期が遅くなったと気付く頃には過放電になってるだろう

オリジナルの回路にはメインスイッチは無い。このICはuAレベルの消費しかないので、ICは駆動しっぱなしなのである。点灯していようが消灯していようが関係無く、IC自体による消費に限っては、ほとんど電池は減らないと考えていい。
つまり、ここでもオリジナルに倣って、セルから常時接続させていればいいのだ

そうする事で、特定のパターンを固定的に選択しておく事が可能になる。メインスイッチ(とは言えないかも知れないが…)には無関係だ。
タクトスイッチは日常的に使う必要が無い、単なる設定スイッチにしてしまえる訳だ

この場合に電源の瞬断が起こると、ICがリセットされて消灯してしまうのでやっかいだ。なんせ震動もするし衝撃も受けるだろう自転車のテールランプなのだから。瞬断防止には、単純にコンデンサを使う。
コンデンサには僅かながらも自己放電があり、震動する事も無い未使用時に電流を垂れ流す必要も無いので、スイッチを入れている時のみの対策にする

そんな感じで、いいとこ取りが出来た

因みに、3系統のうち2系統しか使っていない。LED5本は多過ぎるし、3本で左右対称の点滅パターンにしたかったので。
6番目の点滅パターンは、オリジナルの配列で言えば外側から内側のLEDの順次点滅を繰り返す。No.3 → No.2 → No.1を繰り返すと表現するなら、そのうちの1系統を消灯とした場合の“単純な”パターンは以下の二種類になる
・中心(No.1) → 外側(No.3) → 消灯(No.2)
・外側(No.2) → 中心(No.1) → 消灯(No.3)
収束と拡散のどちらが印象付けられるかが異なる事になる
 



ブレッドボードでテスト





ボードが組み上がれば(右画像)、動作チェックしてみる





屋外で使用するので、露出している金属部分が腐蝕しないようにレジストしたりホットボンドで被ってしまう。そうして初めて最後まで組み上げる


ICを小さくカットし過ぎた。ワイヤをソルダリングしたパターンは力が掛かると剥がれ易いので、樹脂で固めてしまった










テストをし尽くした後に、ホットボンドで裏側も被って保護する







サドル直下にセットしてみた
 



これを使っていて更に気付いた事がある。
マルチバイブレータやリング回路,555IC利用の交互点滅などと比べて、発光そのものが美しく、ランタイムも数十倍といった事は既に記した。では、瞬間的な発光だと被視認性に劣るのかと想像してしまいそうだが、全くそんな事は無い。むしろ実体感が無いからか、二つ並べて見ても、遜色どころかむしろ、点滅周期を短く高速に出来る事で、こちらの方が被視認性が優れる

まとめると、

・美しい発光
・バッテリーの超長寿命
・被視認性に優れる

IC機能としても、

・多機能(パターン数等のIC機能)
・低電圧ドライブ

このテールランプ、どこへ行っても評判がいいよ。声を掛けられる事もあります。友人や知人の為に幾つか作ってあげました。割と簡単に作れちゃうしね
 




リング回路


複数の系統が、ここでは三つの系統が、順次点灯/消灯を繰り返す。
一系統のみをボリュームで点灯時間を調整出来る様にしてみた。これで全体の周期を調整しようと考えた

リング回路は負荷が比較的大きく、AA1セルでは起動出来ない。一度起動してしまえば、駆動するのには十分なのだが。その為に、トリガー専用のバッテリー(ボタン電池)を用意した。これはリザーブ電源にもなる


回路図の右上の方は昇圧回路で、携帯用の充電器のモノを流用した
 



コンデンサや抵抗の値を決定していく。手順はマルチ・バイブレータとほとんど同じ

テスト,カット&トライはブレッドボードで行う

R3, R4について――
blue LED二系統の点滅時間を決定する要因のひとつであり、0.1sec以下の瞬間的な発光となるような抵抗値を用意する

ボリューム抵抗は、white LED一系統のみではあるが、点滅周期調整用に用意した。調整したい範囲は、全体の1サイクルが0.3〜0.7secを含む範囲を想定した
 




単四型電池ボックスの半分に回路を収めた、のもマルチ・バイブレータと同じなら、もう半分にはもちろんバッテリー、というのも同じ。
もちろん、取り付け方法なども同じ

ひとつのボリュームで、white LEDの点灯時間を調整する。white LEDは二つ取り付ける容易をしていたが、ひとつだけにした

ボタン電池はCR2032で、起動時のトリガー専用



裏側にLEDと配線,スイッチが顕になっており、ソルダーレジストで保護した上に、ホットボンドで完全防水にした









アクリル透明板でLEDを下方より保護

マルチ・バイブレータで製作したものと比べて、照度はかなり抑さえる事が出来たけれど、これでもテールランプとしては些か高照度過ぎる感じ

調整ボリュームでwhite LEDの点灯時間を短くしていくと、whiteだけ点灯しなくなる。それでも短時間のインターバルがあり、それが全消灯となる。面白いと思えたのは、極短時間だけ点灯させる様にしておくと、バッテリーが消耗した時に点灯しなくなり、替え時がわかる






調整ボリュームを短時間側に一杯回すと、何故だか全LED連続点灯状態になった。折角なので、サドルに設置して撮影してみた。弛張回路のそれと同じとは思えないんだけれど、、

リング回路は謎が多いって言うかよく理解出来てない…
 



起動時のトリガーに補助電源が必要なのは残念な事で、次のchapterでメイン回路ともなっているキャパシタの充放電を利用しようとしてみた。成功しても、起動の手順が少々面倒だけれどね…


結果は駄目…。
当然、開放電圧では3.0Vになるんだが、キャパシタ充放電による昇圧では、起動に必要な電流を供給出来ない様だ

そんな辺りも意識して、次のchapterへ
 




タイマーIC“LMC555”


特に工夫も無く、定番IC“555”の定番的な回路です。交互に点滅し、周期をVRで可変出来る。回路図の右半分は昇圧回路で、携帯用の充電器のモノを流用した。
回路図には描かなかったが、リング回路同様に、トリガーの2032ボタン電池を取り付け、スイッチもOFF/ON/TRIGERの3ポジションで製作した

昇圧回路を使っている場合、二本のブリーダには注意を要する。この昇圧回路に限った事かも知れないけれど、なんて事は無いよな…。
555のOUTの電圧が下がった時に、負荷が下がって昇圧回路の出力が上がる。普通に印加するならR4はR5の半分にするべきなのだが、この回路では、逆に倍の大きさにして丁度バランスのいい電流が流れる。
もしも丁寧に一本づつ配してやるのなら、R5の4倍の大きさのものを二本用意しなければならないのかも
 



パーツを加工していく

裏側からドライバーで点滅周期を調整可能にする




ボードが組み上がれば(右画像)、動作チェックしてみる



屋外で使用するので、腐蝕しないようにレジストしたりホットボンドで金属部分を被ってしまう。
そうして初めて最後まで組み上げる



今回もまた、リング回路同様に、トリガー用のCR2032を取り付けている


しかし、実際にテストしてみると、多少消耗したセルでも起動してくれることがわかった。バッテリーを使い尽くすためには良い方法だろうけれどね





テストをし尽くした後に、ホットボンドで裏側も被って保護する



回路図には記さなかったが、
スイッチは3ポジションで、リング回路同様に、OFF/ON/TRIGERとなっている
 



「555を使えば一通りのことは何でも出来る」
「ディスクリートで考えないでついつい555に逃げてしまう」
といった言い回しはお馴染みで、実際それだけの事もある

しかし、それらは大抵が電子工作“実験”での話しなのだ。実用品となると意外に使えない面もある事に今回気付いた

満充電800mAhの単四ニッケル水素充電池一本でテストしたところ、7時間しか保たなかったのだ…。
消灯時間が無い事が決定的なのだろうか。Relaxation Oscillatorの数百時間やキャパシタ充放電昇圧の千時間超に比して、とても実用的とは言えない

これは、リング回路やマルチバイブレータも同じです
 




マルチ・バイブレータ


よくある非安定タイプ。ボリュームで周期を調整出来る様にしてみた。常にどちらかが点灯しているのがこの回路の特徴である。回路図のほぼ上半分は昇圧回路で携帯用の充電器のモノを流用した。ほぼ下半分が非安定マルチバイブレータである。
図には電源電圧を1.5Vと記したが、製作画像ではNiMHを使っていて、1.2Vで使用している

 



プログラム乃至アプリケーションと言うのは、平たく言えばコンデンサや抵抗等の配線とそれらの値の事になる。これらを最適化するのはカット&トライで詰めていく。
ブレッドボードで行う


個々のパーツがどの様な働きをしているのか等に関して勉強になる方法でもあるし、何より設計ミスが無くなる。また、時には、思わぬ好都合な動作を発見する事もあるかも知れない

ブリーダは定格電流を流す必要があればそれでいいけれど、最近のLEDは非常に高照度のモノが多く、テールランプにそこまで必要かどうか。アンダードライブにするとランタイムも伸びる。しかし、マルチ・バイブレータでそうすると逆説的だが高速点滅が困難になる。
つまり、照度,点滅周期,ランタイムの面倒なトレードオフという事になる。ブリーダ1本で

このトレードオフは、更に、トランジスタの選定やコンデンサの値によって激変する。例えば、ストロボ用のトランジスタを使うと照度が増すが高速点滅は困難になる。コンデンサの値もより強く同じ影響を齎す
 




単四型電池ボックスの半分に回路を収めた。
もう半分にはもちろんバッテリー

ボックスはほとんどサドル下に隠れてしまうように取り付ける――もちろんそう出来る固有のサドルに合わせてのもの。
その下からLEDだけが後方に向けて顕になる

二つのボリュームで、センターと両サイドのLED点灯時間を調整する



裏側にLEDと配線,スイッチが顕になっており、ソルダーレジストで保護









アクリル透明板でLEDを下方より保護
 



交互に点滅

照度が高過ぎて、高速点滅が困難になってしまった…。ヘッドライトにして路面が視認出来てしまいそうな明るさ…。実験段階での評価ミスだね

 




弛緩緊張&キャパシタ充放電昇圧


唯単に3灯が一斉に点滅するだけのランプ。キャパシタ充放電による昇圧回路の定番だろうか。
発振回路により、点滅とコンデンサ充放電のスイッチングを行う。この事で3倍圧を印加し、1セルでも白色LEDや青色LEDを点灯させる事が出来るが、高照度は不可能だと考えていい。その分、超ロングライフの省エネ利用となる。テールランプだから使える回路だと思う


昇圧回路も無く、シンプルな回路で、1セルで青色LEDを駆動出来る
 



先ず、点滅周期の調整範囲を決定する。ある程度の充電時間が必要な事から、あまりに短い周期は不可能で、0.4sec〜0.7sec辺りがその範囲とするに適切だと思う。回路的にはもっと長い方が有利なのだが、テールランプなので可能な限り短くしたい。
これによりVRとC1の値を決定する。コンデンサの放電は一瞬で終わる事から、長い発光時間を得ることは不可能と考えて良く、比較的小さなC1が望ましいものとなり、その分VRは大きなものになる。
周期時間のほとんどを充電に利用する事になり、その時間でC2, C3が十分な電圧まで充電されるようにR4, R5, R6, R7の値を決定する。でないと放電時の電力ロスが大きくなってしまう。点滅周期を短く出来ない理由だね

ブリーダは無くてもいい様に思えるけれど、保護名目で数Ω。否、本当に無くていいと思う
 




単四型電池ボックスの半分に回路を収めた、のもマルチ・バイブレータやリング回路のものと同じなら、もう半分にはもちろんバッテリー、というのも同じ。
もちろん、取り付け方法なども同じ

スイッチがトグルというのは、ちょっと無骨でしたかね…



因みに、回路図通りには作っていません(いい加減…)











瞬間的に発光するBlue LEDの美しさは格別だと思う。
画像でお伝え出来ないのが残念…



これで、バッテリーは数百時間は余裕で保つ(千時間超えるかも)



こんなのでも、そこそこの照度はある。カメラで真直ぐ覗き込んでLED輪郭がわかるのは低照度の証拠だけれど、テールランプとしては使える範囲かな
 




御感想でもありましたら
 


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