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まぁ便利グッズです――

スピンヤスリと言えば、モデラーの間ではスピンブラシ(電動歯ブラシ)の改造品として知られてきた。今では市販品もある。
どちらにしても格安商品では無いのだけれど、不図目についた100均のスピンブラシ(右画像)、これはもう作る他無いじゃないか

スピンヤスリで検索すれば、様々な改造品を知る事が出来る。通常は、ブラシを引き抜き耐水ペーパーを両面テープで貼り付け、3V出力のACアダプターで駆動するなど。いろいろ見ていると、トルクの強いモーターへ換装したり、ヤスリがピストン運動するアタッチメントを製作していたり、驚かされる

100均のスピンブラシで普通に歯を磨いてみるに、なかなかトルクもある事がわかる。
このテのモータは、たとえ定格が3.0Vだとしても、推奨電圧が、例えば、1.5V〜6.0Vなどと幅が広い事が多く、簡単に焼き切れたりするものでは無い。どこまで回せるか、試してみる価値はありそうだよね
 


 
可変電圧スピンヤスリの自作
16th April 2007
 
chapter1: ワンタッチ着脱アタッチメント
 
1-1. パーツ探し
1-2. 製 作
1-3. 電池で使ってみた
 
chapter2: 電圧可変パワー制御
 
2-1. ACアダプター利用
2-2. 回 路
2-3. 画像でも
 
chapter3: 連続駆動テスト
 
3-1. 弱 点
3-2. アーム内軸受けの補強
3-3. 雑 感
 


chapter1: ワンタッチ着脱アタッチメント


耐水ペーパー自体は、両面テープを裏貼りしてポンチで打ち抜けば、大量にストックしておくのも容易い。これは改造品の検索ページで知った事の物真似だ。しかし、使用中に番手を替えたい時に、一々貼り替えるのだけは避けたい。面倒だし、一度剥がしたペーパーは使えない

という訳で、番手別にアタッチメントが欲しい。それもワンタッチ着脱がいい

こういう場合は、何も決めずに様々なショップを回っていろんな商品を見続けてみる
 



見たまま――なのだが、説明してみる

ブラシを引き抜いたヘッドに、台座を接着する。出来れば、耐衝撃性に優れたものが望ましい

更に、台座にシリコーンを貼り付ける。通常の接着剤では付かないので、特殊な変成材で接着する。これがグリップを確実なものにする

フレームの凸側を、水平面を作ると同時に接着し易いように、少し削る。そこにミラーボタンを接着する。これも耐衝撃性に優れた接着剤でつける。
別にミラーボタンでなくても、表面が滑らかな円盤であれば何だっていい。これが耐水ペーパーを貼り付ける台座になる

五つ作ったのは、五種類の番手を使いたいからでは無いのだが、でもまぁ五つあれば丁度いい感じかな

#120, 180, 320, 600, 1000, 1500...一枚足り無いか…
 



削れる。とにかく削れる。それが第一印象。単三型電池二本でもそこそこのトルクがある

これなら、パーティングラインを消し去ったり、表面研磨など、頗る簡単で楽だ。高周波回路のハンダを削ったり、LEDやコリメーターレンズの研磨などにもいいかも知れない。とにかく、そんな事が楽に短時間で出来てしまう電動ツールは有り難いものだね。
荒い番手のヤスリに比して、仕上げ段階の細かい番手では、少々時間がかかる。ここに可変電圧の期待をしたいところかな



にしても、こんな道具を手にすると合目的性に対する自信が揺らぐ(笑)

――水牛は、突く為に角を発達させたのか、角が発達したから突く事を覚えたのか、という古典的な疑問が不図脳裏を過る…。ネオ・ダーウィニズムですらこれに対しては解答を持ってない。案外、ヘッケルの一元論辺りがアイデア的にはいい線ついてるのかも?

そんな感じで、進化するスピンヤスリと共に、進化論について考察してみます(嘘)
 




chapter 2: 電圧可変パワー制御


電源ソースに何を使うか?
交流100V利用となると、トランスやブリッジと比較的大型のパーツが必要になり、本体内部に収めることが不可能とも思えないが、重量や熱の問題から、ACアダプターを使う事にする。とりわけ、軽量であることが重要なツールであるから

それも、卓上で使ってる適当なアダプターを使いまわせればいい。ノートパソコンやハンドヘルドなどの端末用のものが机上でぶらぶらしていて、12V--2.0A、6.5V--1.0Aなどと、十分な供給力だろう。
もちろん、他のもっと適当でいい加減なアダプターでも利用出来る様にしたい
 



三端子レギュレータを使ったよくある可変電源。LM338, 335, 317が使える。それぞれ、順に5.0A, 3.0A, 1.5Aまで使え、どれでも十分だろう。
回路は全てスピンヤスリ本体の電池取り換え用のキャップに収める

V-in側のキャパシタC1に1,000uFのものを使ったけれど、平滑の程度の悪いアダプターでも利用出来る様にと考えてのことで、通常はもっと小さくていい。もし、トランス,ブリッジを介してのものであれば、逆に、もっと大きな容量のものが必要になる。
ダイオードは、要らないかも知れないけれど?、スパイク電流を除去する為の用心

V-outの電圧は、R, VRで決定され、理論値で1.25V〜9.2Vの範囲で可変出来るように設定した。但し、その場合の上限は、V-inマイナス1.5Vが目安


 


2-3. 画像でも


底に開けた穴からドライバーを突っ込んで、電圧の制御をする。
ボリュームは密閉型を使った方が良かったかな…



キャップに回路を収めたのは、モータが焼き切れても本体を簡単に取り換えられる様にと考えての事だったけれど、そのモータは、8.0Vで一時間の連続駆動テストをしても、少し高熱になったぐらいだった

回路だけでそこそこ高密度。
アダプタープラグの為のジャックを取り付けるスペースも、キャップ側に余裕は無いのだが、使用時にプラグが突き出るのは邪魔になるので、紐付ジャックという感じで引き出す事にした













V-in, V-outの電位差が大きいと、レギュレータの発熱が激しくなるのだが、数ボルト以内の差で使えば、特に対策をする必要も無いだろう

でも、一応、本体シェルには排熱穴を幾つか開けようと思う
 



折角の、可変安定化電源なので、外部出力も可能な様にしてみた



本体との接続に、ギボシを使って、キャップだけ外して汎用電源としても利用出来るようにした

もうひとつの出力として、キャップ下部に内径で2mmの銅パイプを通し、簡易出力としてみた。2mmというのは、マルチメータに使われている端子の径に等しい訳だ



しかし、











ここまでするなら、

スピンヤスリとは別に、より汎用的な可変安定化電源を製作して、それを使う様にすれば良かった……

どうせなら、

1.25V〜24.0V辺りまで可変出来て、電圧計と電流計を装備したものを。。
電源には交流100Vで、トランスとブリッジ,大容量のキャパシタを入れてやって

絶対、その方が良かった…

レギュレータには排熱フィンとか取り付けてやったりして、さ、、
 



そんな感じで完成

排熱穴はもっと沢山開けなきゃね
 




chapter 3: 連続駆動テスト


シェルは、ABS樹脂製で結構な肉厚もあり、とても100均製品とは思えない、しっかりした造りになっている。
また、最大の懸念だったモータはなかなかトルクもあり、かなりの耐圧,耐負荷がありそうだ

それでも、高電圧(8.0V)で一時間連続駆動テストをすると、思わぬ弱点が露呈した。
――アーム内部の軸受け部分が破壊されてしまうのだ…

実際の使用は、3.0V〜5.0V――5.0Vでかなりパワー(回転速度,トルク)がある――程度だから、問題無さそうではあるが、使い続ける内に同じ事は確実に起こるだろう。
それに、熱中出来る内に、こういう処理はやってしまうに限る



替えブラシ二本で105円(笑)
 



この部分は、一度ブレが出来てしまうと、収穫逓増的に破壊が進行する

構造はちょっと説明し難いが、してみると、
シャフトは先端がS字に曲がっており、これが回転する事で、ヘッドの溝を左右に首振り回転させる。従って、このシャフトを固定させている部分は、左右に強い応力がかかる訳だな

ところが、この部分のABS樹脂の肉厚がそれほど分厚くないのだ



もちろん補強した

シャフトの径に等しいホールを持つ小さなワッシャーを、シャフトに通し軸受け部分に強力な接着剤で固定した。シャフトに接着剤が付着しないように、注意というかコツが必要な作業だ。
再三示唆して来たが、これも耐衝撃性に優れた超強力な接着剤を使う



こうなると、あらゆるところの構造をチェックしたくなる。
他に心配になる箇所として、ヘッドスリットとヘッド軸受けがあったのだけれど、その後の高電圧での耐久駆動テストから判断して、これらは十分な強度がある様です








本体も、もうひとつ買った
 



これは、モデラーなら必携のツールだね
――芸人サンダーと共に


元のブラシは何がいい?
――
スピンヤスリで検索すれば、いろんな人がいろんなアイデアから、スピンブラシを様々なスピンヤスリに改造して使っている事がわかる。しかし、不思議に思うのは、クレスト製のスピンブラシの改造が圧倒的に多い事だ。
何故に不思議かと言うと、クレストのブラシは、振動が激しいのだ。ブレとしての激しい振動は、サンディング作業にとって致命的じゃ無いのだろうか…

クレストの駆動システムは、蒸気機関車の輪転機構と同じである。振動が激しくなるのは当然だが、騒音も大きいものになりがちだ
駆動の為のパーツは堅牢そうなものが使われており、構造的な強度はありそうだ

ここで紹介したものと比較して、一長一短というところか
尤も、補強しない場合、使い物にならないのであれば、どちらがいいかは自明だけれど


高電圧駆動
――
多分3.0Vが定格のモータだと思うが、8.0Vで長時間使用しても問題無い様子だ。その場合の回転速度とトルクは、かなり強力なものがある。実際の使用で、ここまで電圧をあげる必要は、滅多に無いだろう

素材次第であるのは言うまでもないが、粗目の耐水ペーパーを使う場合は3.0V〜4.0V、細目の場合には4.0V〜6.0V辺りが、ストレス無く、それなりに早い仕上げが可能になる感じだ。まぁ目安で。
素材や番手に対して、高過ぎる電圧を使うと、もちろん研磨速度は上がるのだが、ほんの僅か当てる角度がブレただけで素材と耐水ペーパーに「噛む」様な当たりが発生し、ペーパーのエッジで素材に傷を与えてしまい兼ねない。
その辺りのバランスというか匙加減は、まぁモデラーなら問題無いですよね
 




御感想でもありましたら
 


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