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100均ライトを改造して、――

禄なLEDは使われていないし、ハンダは脆く、大抵の場合は、少しでも性能を良く見せる為にか如何か小さ過ぎる抵抗でオーバードライブされている。100均なのだから、まぁそんなモノです

でも、シェルはアルミ削り出しであったりして、なかなか見栄えのいいモノもある。シェルばかりは、素人が一から加工するよりもずっといいモノが手に入りそうだ。それを流用して、フラッシュ出来るようにしたり、PowerLEDを組込んだりしようと考えた訳です

あと、このテのライトで単四型電池を3本使う場合の定番になっている電池ボックスがあって、コンパクトな円筒形に出来ている。LEDなので電池3本の定格4.5Vでドライブしている訳だが、3本は運用が面倒なので2本使う様にして、余ったスペースに昇圧回路や点滅回路を組み入れたい

この組込む回路を、砲弾型LED用,PowerLED用と2〜3通り作っておけば、組み合わせる本体,LEDと定電流回路のみの本体を各々のタイプで複数作っても運用出来る事になる

最初に短い能書きを記した
 


 
100均LEDライトの改造
30th January 2015
-- dcdc, flash, powerLED into cheap light
 
はじめに
 
1. 点滅と消費電力
2. 砲弾型LEDとPowerLED
3. 充電池に関して
 
砲弾型LED用のまま
 
1. オリジナルの製品
2. 回路図
3. 回路は電池ボックスの1セルスペース
4. 高照度LEDに取換え
 
PowerLEDの組込み
 
1. PowerLED
2. 回路図
3. 本体側
4. 電源側
5. NJM2360AD
 


はじめに


点滅は何の為のものか。自転車のライトに使う場合がほとんどだろうか。それ以外の用途があったとしても、問題になるのは被視認性であって、実用を考えれば、高い被視認性を維持しながら消費電力を抑えたい。原則的には、点灯時に十分な電流を流しながら点灯時間を短く瞬間的にする事で、高い被視認性を維持しながら消費電力を小さくする事が出来る。

例えば、0.3sec周期で点滅させる場合に、同じ定格電流を流すのであれば、点灯時間が0.1secのものと0.05secのものは、被視認性に於いてはさほど変らないが、消費電力は2:1の比になる。
0.5sec周期で0.2sec点灯のものよりも、0.3sec周期で0.1sec点灯のものの方が、被視認性に於いて圧倒的に優れながら消費電力は小さい

といっても、点灯時間の短さには限度がある。突き詰めた実験はしていないが、多分、0.05secぐらいがリミットだろう。これは回路とその(所謂)プログラム,印加する電圧や電流等にも依る

そして、こうした要件を調整可能なディスクリート回路は、弛張回路(relaxation oscillator)だろう。ディスクリート組みとしては唯一のものになると思う。もちろん、点滅周期を余りに速くすると点灯時の電流を十分に流すのが困難になったり、瞬間的な発光だからといって大きめに電流を流したりするのが困難になるなど、その調整はなかなか難しい。しかし、バイブレータやリング回路などと比べると被視認性に優れながら圧倒的に省エネになる回路を作る事が可能だ。むしろバイブレータやリング回路は効率に劣るので止めたほうがいい。
もし、シビアに調整していく必要があれば、AVR, PICといったプログラマブルなICを利用するか、もしくは、都合のいい特性を持つ既製品ICの流用でしょう

このページ「tail lamp」ではテールランプを中心に様々な回路を記している
 



半導体としての違いは無い。単に定格電流の桁が異なるだけと言えなくも無い。
形状の違いから、砲弾型LEDは半減角15度などの指向性の強いものがあり、PowerLEDは指向性を強くする為にはコリメータの装着が必須になる。また、通常PowerLEDは大きな電流を流すので熱対策が必須になる。PowerLEDを扱うに際して、熱処理がすべてだと言う人も多い。最近は、砲弾型LEDにも比較的大きな電流を流せる高照度の製品があり、そうした製品は放熱に配慮した太い金属足があったりする

定電流回路が推奨される理由。放熱が重要視される理由。
最大定格(conductionだったっけ?)を超える温度はLEDを急速に劣化または破壊するが、高熱はそれ以前の問題がある。高熱はLEDのVf(順方向電圧)を低下させるので、定電圧によってブリーダのみで駆動すると過電流になり、これがまた温度上昇に繋がり更にVfを低下させる悪循環をもたらす。尤も、数十mAしか流さない様な機器のモニターランプなどに使用する砲弾型LEDなどはそれで問題が無い。
高効率なスイッチング電源が面倒なら二石の安易な定電流回路(右図,A = Vbe / R)で構わない。大きな発熱が予想されるLEDの場合は定電流回路を使うべき

余談だけど、市販されている定電流LEDドライバの回路自体に結構な発熱があり本当に高効率なのかどうか怪しいモノが多い。こんなモノを使う為に為にありがちな12V電源をわざわざ作る必要があるだろうか
 



充電池は永く使いたい。最も重要なのは過放電でセルを傷めない事だが、ライトなどに使うとついついやってしまいがちになる。
最近はNiMHだけでなくLi-ionを使ったライトも多い。Li-ionは適切な保護回路があれば終止電圧までドロップすれば放電停止してくれる。つまり、予期出来ないタイミングで唐突に使えなくなる。だからと言って保護回路無しのLi-ionで過放電させると発火,爆発のリスクがある。
体積あたりの電力容量でLi-ionに迫っている事もあり、NiMHを使うのが無難で妥当と思う。自作ですからそうしたリスクは回避したい

リスクがほぼ無いからといってNiMHを過放電させてしまうと寿命が極端に短くなる。
NiMHの放電特性は容量が減少しても電圧降下が小さいので、光量が減衰したとわかる程に電圧降下が起こった時点ではとっくに終止電圧を下回って過放電していると思っていい。特に昇圧回路を使った機器では電圧降下はわかり難い

要は交換のタイミングがわかればいい。
バッテリーのインジケータがあれば最良だ。簡易に、終止電圧に近付いたら警告ランプが点灯するでもいい。そうしたモノが無ければ、使い慣れて(?)、少々早目に交換する事で過放電は免れる。但し、早目に交換した場合に、継ぎ足し充電するとメモリ効果を引き起こすので、放電機能のある充電器を使う様にすればいい。放電機能とは適切な終止電圧で停止してくれる機能である。
余談だが、終止電圧とは、一定の負荷の場合に放電を停止するべき電圧の事で、負荷の大きさによって変化する。
詳しくは、このページ「discharger」を参照して欲しい
 




砲弾型LEDのまま


オリジナルの製品には、砲弾型LEDが3灯,5灯,9灯の3種類がある

いずれもLEDがハンダ付けされている基盤に1つだけチップ抵抗がつけられている。灯数の少ない順に各々に、3.6Ω,2.0Ω,1.2Ωであり、アルカリ乾電池3本で4.5Vを印加すると、標準的なVfの範囲ではオーバードライブになる。ランタイムは短くLEDの寿命も半永久的とはいかないだろう。オーバードライブは効率も悪くその分だけ明るくなるというものでもない。
ニッケル水素充電池3本で3.6Vを印加すると、ややオーバードライブにはなるがさほど極端なものでは無い

電源電圧,順方向電圧,ブリーダ抵抗の計算式は単純なもので、既に決まっている電圧差から抵抗値を算出する事が多い。この電圧差が大きいと微妙な個体差などの影響を受け難く望ましい電流を安定的に供給出来るのだが、ブリーダで消費される電力も大きくなる。
ここでは、その逆を狙う。電圧差を小さくしてブリーダで消費される電力を抑えて、少しでもランタイムを伸ばす。不安定になるかも知れない電流については、折角の自作なのだし、テストをして適切な抵抗値に置き換えればいい。どうせならLEDも高照度のモノに交換する

ニッケル水素充電池2本の2.4Vを、HT7733Aを使って3.3Vに昇圧して運用する
 




昇圧回路と弛張回路。モードスイッチでコンスタントとフラッシュを切替え、半固定抵抗で点滅周期を変化させる。
LEDは複数本並列に接続されている
 


3. 回路は電池ボックスの1セルスペース

左画像は昇圧回路のみ。これに弛張回路を組込んだ基盤を電池ボックスに入れたのが右画像。これさえあれば、オリジナルのライトを効率良く点灯させ、更には、フラッシュさせる事が出来る

メインスイッチは本体にあり、電池ボックスのマイナス側と本体アルミシェルの間の導通を行なう。そのアルミシェルからGNDを回路側に引き出す為に、電池ボックス底部に金属リングを填め込んでいる

 



電源に関しては、オリジナルに比して、明るさもランタイムもほぼ同じ。但し、オリジナルは3セルで、これは2セルなので、1.5倍ほどにランタイムが伸びたと考えていいだろう。
フラッシュさせれば更にその数倍以上に伸ばす事が出来る


左画像は、高照度LEDに取り換えて、オリジナルと比較したもの。電源は同じで上記の通り作成したモノを使い、電流値も同じ
 




PowerLEDの組込み


PowerLEDを使うとなると、

・定電流回路
・高電流昇圧回路
・放熱処理
・コリメータ等の装着

と、やる事が急増する
右画像は今回使ったPowerLEDで安物だが600mA流せば200LMの明るさが得られる

電源電力にそれほど余力が無く、負荷は1〜2Wとなるので、ドロップダウンも見越して作る。
先ずは、5Vに昇圧してくれる携帯用充電器の昇圧回路を流用してみる。8A71というチップを使ったモノで、100円で投げ売りされていたモノ
 




2石の定電流回路はPowerLEDの最大定格電流に合わせる。多分、ボトルネックになるのは昇圧回路の方になると思うので、定電流回路自体を無くしても問題無かったかも知れない。
この定電流回路は本体側の基盤に実装する
 


3. 本体側

砲弾型LEDがついていた円形の基盤と同じサイズの基盤に2石の定電流回路を組む

その基盤の回路とは反対側にPowerLEDを設置するのだが、アルミ板やアルミリングによって放熱版とシェルの間に押し込めるようにし、熱伝導接着剤を流し込んで十分に放熱出来る様にする

更に、リフレクターと凸レンズ、もしくは、LED用のコリメータレンズを被せる
















オリジナルの電池ボックスに3セル入れて点灯してみる。
左画像の、左はリフレクターと凸レンズ、右はリフレクターのみで未だ凸レンズははめていない。半減角にして30度と60度ってあたりだろうか。

右画像では、奥がリフレクターと凸レンズ、手前がコリメータを装着したもの。コリメータの仕様は10度
 



電源側、というか、電池ボックスに、昇圧回路と弛張回路を組込む

HT7750Aでも使えれば、前節の砲弾型LED用の電源とほとんど同じ様に作れるのだが、スペースの都合から大きな電流を流す為のパーツ(コイル)を組込む事が出来ない。探せば使えるモノが見つかったかも知れないけれど、取り敢えず、携帯充電器の昇圧回路を流用する。チップは8A71

 



NJM2360ADを昇圧回路に使ってみた


これもスペースの都合というかパーツ探しでの怠慢というか、大電流を流す為のコイルを使っていない




ニッケル水素充電池750mAhを2セルで、8A71を使った場合のランタイムが約55分で、NJM2360ADの場合は約70分。照度の違いはあまりわからなかった

測定した電流値から推計して約100LMの照度、所謂1Wクラスですね。本体は200LM/600mAまで大丈夫なので、コンパクトでより大電流を流せる昇圧回路を作りたいと思う
 




御感想でもありましたら
 


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