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PowerLEDを1セルで、――

リチウムイオンを使えば容易い事で、そういうのも作ろうと思うが、ニッケル水素充電池1セルでPowerLEDを使った小さなライトが欲しい。ポケットに入れていても邪魔にならないくらい小さいのを

右画像は、単三型電池1本で携帯に充電出来るもので、とてもコンパクトでそのデザインからリップスティックにしか見え無い。これが100円で投げ売りされていたので箱に入っていた7個を全部買って来た。何に使うかは考えていなかったけれど、topland製の充電器に使われている昇圧回路はなかなか効率が高く性能の良いモノが使われている

バッテリーホルダー部位と昇圧部位はそのまま使えそうだ。このヘッド部位にPowerLEDをつける。出来れば弛張回路も組込みたい。放熱処理,コリメータ,スイッチが二つと考えていくと、元々のコンパクトで可愛らしいデザインを活かせるか如何か疑問になったが、いろいろと偶然もあって、巧く出来たのでは無いかと思っている

最初に短い能書きを記した
 


 
1セルパワーLEDライトの自作
12th February 2015
-- dcdc, flash, powerLED into cheap light
 
はじめに
 
1. 点滅と消費電力
2. 砲弾型LEDとPowerLED
3. 充電池に関して
 
単三型ニッケル水素充電池
 
1. コンスタント点灯のみ
2. 回路図
3. 高密に組立て
4. 雑 感
 
14500リチウムイオン充電池
 
1. 少々危険
2. 回路図
3. 高密に組立て
4. 雑 感
5. 自転車のライトに流用
 


はじめに


点滅は何の為のものか。自転車のライトに使う場合がほとんどだろうか。それ以外の用途があったとしても、問題になるのは被視認性であって、実用を考えれば、高い被視認性を維持しながら消費電力を抑えたい。原則的には、点灯時に十分な電流を流しながら点灯時間を短く瞬間的にする事で、高い被視認性を維持しながら消費電力を小さくする事が出来る。

例えば、0.3sec周期で点滅させる場合に、同じ定格電流を流すのであれば、点灯時間が0.1secのものと0.05secのものは、被視認性に於いてはさほど変らないが、消費電力は2:1の比になる。
0.5sec周期で0.2sec点灯のものよりも、0.3sec周期で0.1sec点灯のものの方が、被視認性に於いて圧倒的に優れながら消費電力は小さい

といっても、点灯時間の短さには限度がある。突き詰めた実験はしていないが、多分、0.05secぐらいがリミットだろう。これは回路とその(所謂)プログラム,印加する電圧や電流等にも依る

そして、こうした要件を調整可能なディスクリート回路は、弛張回路(relaxation oscillator)だろう。ディスクリート組みとしては唯一のものになると思う。もちろん、点滅周期を余りに速くすると点灯時の電流を十分に流すのが困難になったり、瞬間的な発光だからといって大きめに電流を流したりするのが困難になるなど、その調整はなかなか難しい。しかし、バイブレータやリング回路などと比べると被視認性に優れながら圧倒的に省エネになる回路を作る事が可能だ。むしろバイブレータやリング回路は効率に劣るので止めたほうがいい。
もし、シビアに調整していく必要があれば、AVR, PICといったプログラマブルなICを利用するか、もしくは、都合のいい特性を持つ既製品ICの流用でしょう

このページ「tail lamp」ではテールランプを中心に様々な回路を記している
 



半導体としての違いは無い。単に定格電流の桁が異なるだけと言えなくも無い。
形状の違いから、砲弾型LEDは半減角15度などの指向性の強いものがあり、PowerLEDは指向性を強くする為にはコリメータの装着が必須になる。また、通常PowerLEDは大きな電流を流すので熱対策が必須になる。PowerLEDを扱うに際して、熱処理がすべてだと言う人も多い。最近は、砲弾型LEDにも比較的大きな電流を流せる高照度の製品があり、そうした製品は放熱に配慮した太い金属足があったりする

定電流回路が推奨される理由。放熱が重要視される理由。
最大定格を超える温度はLEDを急速に劣化または破壊するが、高熱はそれ以前の問題がある。高熱はLEDのVf(順方向電圧)を低下させるので、定電圧によってブリーダのみで駆動すると過電流になり、これがまた温度上昇に繋がり更にVfを低下させる悪循環をもたらす。尤も、数十mAしか流さない様な機器のモニターランプなどに使用する砲弾型LEDなどはそれで問題が無い。
高効率なスイッチング電源が面倒なら二石の安易な定電流回路(右図,A = Vbe / R)で構わない。大きな発熱が予想されるLEDの場合は定電流回路を使うべき

余談だけど、市販されている定電流LEDドライバの回路自体に結構な発熱があり本当に高効率なのかどうか怪しいモノが多い。こんなモノを使う為に為にありがちな12V電源をわざわざ作る必要があるだろうか
 



充電池は永く使いたい。最も重要なのは過放電でセルを傷めない事だが、ライトなどに使うとついついやってしまいがちになる。
最近はNiMHだけでなくLi-ionを使ったライトも多い。Li-ionは適切な保護回路があれば終止電圧までドロップすれば放電停止してくれる。つまり、予期出来ないタイミングで唐突に使えなくなる。だからと言って保護回路無しのLi-ionで過放電させると発火,爆発のリスクがある。
体積あたりの電力容量でLi-ionに迫っている事もあり、NiMHを使うのが無難で妥当と思う。自作ですからそうしたリスクは回避したい

リスクがほぼ無いからといってNiMHを過放電させてしまうと寿命が極端に短くなる。
NiMHの放電特性は容量が減少しても電圧降下が小さいので、光量が減衰したとわかる程に電圧降下が起こった時点ではとっくに終止電圧を下回って過放電していると思っていい。特に昇圧回路を使った機器では電圧降下はわかり難い

要は交換のタイミングがわかればいい。
バッテリーのインジケータがあれば最良だ。簡易に、終止電圧に近付いたら警告ランプが点灯するでもいい。そうしたモノが無ければ、使い慣れて(?)、少々早目に交換する事で過放電は免れる。但し、早目に交換した場合に、継ぎ足し充電するとメモリ効果を引き起こすので、放電機能のある充電器を使う様にすればいい。放電機能とは適切な終止電圧で停止してくれる機能である。
余談だが、終止電圧とは、一定の負荷の場合に放電を停止するべき電圧の事で、負荷の大きさによって変化する。
詳しくは、このページ「discharger」を参照して欲しい
 




単三型ニッケル水素充電池


とにかくコンパクトなものを作ろうと、コンスタント点灯のみのライトを作ってみた(右画像)

弛張回路は無いしスイッチもひとつだけ。
ヘッド部にバッテリーホルダーと同じ18mm径,18mm長のアルミパイプを使い、これを放熱の為のヒートシンクを兼ねたヘッドシェルとした。そして、コンパクトに作り過ぎた事が仇になった…

いろいろ調べてわかったのは、放熱不足の為にPowerLEDが過熱してVfが低下し過電流が流れリセットヒューズが働いてしまう事だった。この昇圧回路にはリセットヒューズがあり1Aを超える電流が流れると数秒間〜数十秒間だけシャットダウンする。1.2W以上の出力は出来ないという事でもある。点灯させてから約5分ほど経過すると間欠的に消灯してしまう。これはこれで使えはするけれど。
これを回避する為には、もう少しヘッドシェルを大きくするだけで良かった

そんな訳で、弛張回路とスイッチをふたつを組込み、27mm長にしたヘッドシェルを使う
 



昇圧回路と弛張回路。モードスイッチでコンスタントとフラッシュを切替え、半固定抵抗で点滅周期を変化させる。
この昇圧回路には、Serial GNDとAudio GNDがある。前者はバッテリーのマイナスと繋がっているが後者は繋がっていない。この二つをスイッチングしてやる事で回路に電源が入る。余談だけれど、元々の充電器として携帯電話に差し込む事とこのスイッチングは同じである

定電流回路も無ければブリーダすら無い。本当は良くないのかも知れないけれど、LEDの加熱さえ無ければ過電流を流すほどのパワーはこの電源部には無いだろうと山勘で、……。単にコンパクトにしたいだけの理由の様な気もするけど、取り敢えず、問題無く使えています
 


3. 高密に組立て

昇圧回路はオリジナルと同様に白色の部位に差し込む。高密度なのでワイヤーはUEWを使った。その上部に乗せるべく弛張回路をほぼ円筒形に組み上げた。これの径は約14mm。
アルミシェルに熱伝導する為に、LEDは基盤の無いモノを使って銅板を熱伝導両面テープで着ける

回路の段組みをしてスイッチを繋ぐのだが、アルミシェルを削り出したレバー位置に合う様に調整しておく。その裏側には、画像には無いが、点滅周期調整用のドライバーを差し込む穴を開けてある

 



コリメータを装着して完成。最初に作ったコンスタント点灯のみのものと比べると、アルミシェルの長さが10mm長くなっただけだ。全長にして丁度90mm。バランスは短い方が良い感じかな


かなり明るい。約1W,100LM

ランタイムは2000mAhのNiMHで55分
 




14500リチウムイオン充電池



14500のサイズは単三型と同じ。だからと言って前節で作ったライトで使うと過電流で回路かLEDかが壊れると思う。それどころか、リチウムイオン充電池が発火,爆発する事だって十分にあり得る。定電流回路を追加すれば一番安心出来るのだが、スペースの問題がある。良くない方法だとは思うが、昇圧回路のコイルで電流制限をやってみようと思った。少々危険だ

一応、リチウムイオン充電池,充電器は信頼性の高いものを選んでいる。KEEPPOWERの14500,XTAR VP2です。KEEPPOWERのリチウムイオン充電池は保護回路に定評があるが、若干長いので嫌う人もいる。機器によっては使えないからね

昇圧回路には非力なHT7750Aを使う。効率がちょっと心配
 




特に説明する事も無さそうです
 


3. 高密に組立て

オリジナルの昇圧回路は使わないので、白色の接合部位も使わない。
多少でも内部スペースを稼げる様に組付けを考える。パーツ点数は増えたが、異なるのは昇圧回路のみで、径14mm程度の円筒形に収まるように各パーツの配置から考えていく

単三型のモノと比べて、長さにして1mm程度小さく納められそう




基本的には単三型用に作ったモノとほぼ同じ
 




コリメータを装着して完成

照度は明らかに単三型用のモノより高い。1.5W, 150LMぐらいはありそうだ。14500は3.7V, 840mAhで、ランタイムが約90分なので、効率的にもこちらの方が若干、照度の高い分ほど、良いのかもね

残容量が無くなると、電圧で3.2〜3.3Vぐらい、14500の保護回路が働いていきなり消灯する

同じモノをもう一本作った。但し、LEDは電燈色で。
巷に氾濫するLEDは(クール)ホワイトと何故か相場が決まっている。ホワイトの方が印象として明るく見えるからだろうか。そんな状況が面白く思えたので、敢えて洒落で電燈色です
 



ヘッド部位のみを自転車のライトに流用してみた。これも電燈色

保安部品なので、いきなり消灯するリチウムイオンは使えない。バッテリーはサドル下に収めたテールランプにあって、ニッケル水素充電池3セルから引き出している。
直径18mm,長さ27mmの円筒形ライトとなり、物体的に目立たない

尤も、このライトは小さなフロントライトを作る為にテールランプとシステム的にひとつにして作っていたもの。詳しくは「cycle Head Lamp」を見てみて下さい
 




御感想でもありましたら
 


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