先ずは次のサイトを見て欲しい。LEDの光で視力回復が可能だという臨床実験の結果である。
Optically Improved Mitochondrial Function Redeems Aged Human Visual Decline | The Journals of Gerontology: Series A | Oxford Academic
概要を記すと、
老化に伴い眼球細胞のミトコンドリアの機能が低下していくのだが、これを670nm波長のLED光で回復させる事が可能となる。ミトコンドリアは謂わば発電所の様なもので、細胞が機能する為のエネルギーを供給する。
このミトコンドリアを活性化するのが670nm波長の光という訳だ。被験者は毎朝3分間この光を眼球に当てる。出力は40mW/cm2。
研究者達は、40歳以上であれば、視力回復が可能だと言う。それ以下の若年層はさほど機能低下が無いので不必要という訳だ
電子工作が出来るなら、これは作りたいものだ。
670nm波長のLEDなら入手できる。眼球面で40mW/cm2という出力も調整出来なくは無いのだが、厳密に調整するのはそれなりにハードルが高い。
それに、毎朝3分の間だけ照射するというのもズボラな人間にはハードルが高い(笑)
研究者達はこのアイテムを売り出す事も示唆している(右画像)。
国際線のファーストクラスで使用されているのが目撃されたりしてもいる。ワンオフだろうか
ズボラな人間なので、これを生活の一部にする事にした。
就寝前の読書灯にしたのだ
紙面からの照り返しの光を目で受ける事になる。光源はそこそこ強力だが、眼球が受ける光の出力は「40mW/cm2」よりはずっと弱い。長時間に亘って使う事で、安全な出力の範囲で視力回復を図ろうとした
研究者達が豪語する視力回復なのかどうかはわからないが、使い始めて明らかに眼精疲労が無くなった。かなり効果がある事は、特別な検査をしなくても、実感できる
回路は、汎用LEDランプと同じで、ACアダプタで運用する。2灯を横並びに各々にスイッチを付けた。1灯あたり200ルーメンの照度がある高出力なもの。これに半減角10度のコリメータを着けている。もちろん直接見るものではない。
ベッドの枕側の壁に簡易的に取り付けて使用している
左画像では漏れ出た光が周囲を染めているのみだが、コリメータの照射範囲は強い光が照射されている
上記のLEDの波長は680〜700nmで670nmより少々長い。それでも効果は確かめる事が出来たが、より厳密に670nmのLEDを使うに越した事は無い。670nmの波長である植物育成用のLEDで作成した。
回路もより高効率で高出力が容易なOPアンプとMOSFETを使った定電流回路でドライブする
LEDへの電流は個別に制御するべきなのだが、ここでは2灯を直列に繋ぐ。
1灯のVfが2.0〜3.0Vなので、電源電圧が大幅に上回るとその余剰分がmosfetの発熱となって大きな損失になるからだ
回路図に示すように、定電流回路の制御はSWによって2モードにする。また、OPアンプのVrefをVRによって微調整する事でも電流を増減できるようにした。
このVrefも可能な限り小さい方がR5, R6での損失が小さくなる
バッテリー駆動ではないので損失はあまり気にしなくてもいいのだが、各パーツでの損失を抑える事で発熱を抑えたい
余談だが、PowerLEDを専用の基板に半田付けする際には予め基板側に薄く半田を乗せておく。いきなり半田を流そうとすると巧く着かない場合がある。熱が逃げ易いので短時間で半田を流し込む
簡易的に壁面にクリップ留めをして読書灯として使ってみた。
以前のものと比べてあまり違いは感じなかった。画像で見比べると微かに色調が異なっている
以前のものは最大で400ルーメンだったが、今回のものは最大で800ルーメン。約600ルーメンで使用している。TIR(コリメータ)は10度のもので読書灯にする場合は必須
植物育成用のLED光が眼細胞のミトコンドリアを活性化させ、視力回復の臨床試験でその効果が証明されたのは興味深い。670nm波長光の不思議だね。
これも余談だが、植物育成の為には、この670nm波長光をメインに青色LEDの光を併せて照射する。視力回復の為には670nm波長光のみ