<body leftmargin=0 topmargin=0 marginwidth=0 marginheight=0>
 
 

top page, english, japanese


Cycling Power Simulator, パワーメーターが多くをもたらした――

科学的な視点というのは昔からあったのだろうけれど、ユーザレベルでは、特にロードバイクのでは、体感的でいい加減な主張が大手を揮って来た。例えば、バイク重量が1kg変われば平地速度で2〜3km/h変化するなどと速度域の条件どころか何の根拠も無く平気で語られたり…。
そして、パワーメーターの普及と共に、そうした莫迦げた主張が一気に退けられたのだ

パワーメーターにより、理論値の検証が行われたり、蓄積されたデータから統計処理が可能になり諸諸のファクターからの推計が行われたり、動力学的な面だけでなくエアロダイナミクスに至るまで、数量的に解析がなされるようになった。
例えば、ペダリングやクランク,リアハブの動力,タイヤが発生する推力等から各器材の動力ロスはどの程度のものなのか、エアロヘルメットは速度域によってどの程度のゲインをもたらすか、フロントのスポークが20本と16本ではどの程度の違いが生じるのか等々

そうした数量的な解析をベースにこのソフトウエアは作られている。
体格やアビリティ,器材スペック,コース環境等の設定に従い、定速度走行,加減速,制動等に於ける、動力やトルク,フォース,加減速度,時間,ブレーキマテリアル温度などの値,時系列変化、等々をシミュレートするアプリケーションである

現在のバージョンでは、何等かの一定の基準をベースにシミュレーションを行なっているが、考え得る限り多くのファクターを選択する事により、加減速や制動などの動的変化もシミュレート可能である。また、緻密な設定の反映を可能にする精度を有する。
先ずは、動かしてみて下さい

2019年春、全面的にリファクタリングし、主にパラメータ設定を分かり易く使い易くしました。ギア(チェーンリング,スプロケット)の設定枚数を増やすと同時にピスト(シングルギア)の設定も可能にしたりしています。

リファクタリング自体の目的は、GPSデータからパワー(出力)を推計し、運動生理学による分析などを可能にするアップデートの下準備です。具体的には、FITファイルでの読込みと、パワーデータ等を追加したFITファイルでの出力を行ない、Golden Cheetahなどでの分析を想定しています。今年2019年の夏頃には完成するでしょう。
精度的にはパワーメーターの使用には及ばないでしょうけれど、このソフトウエアだから可能になる事として、走行を記録したGPSデータをベースに器材アセンブルの変更がどの様な変化をもたらすかを判断出来る事になるでしょう
 


 
cyclingPowerSim, 自転車(ロードバイク)パワーシミュレータ
please download "cyclingGPSToPowerSim" which has upward compatibility instead of "cyclingPowerSim"
 
概 要
 
1. 使い方の概要
2. プロファイル設定
3. プリファレンス
4. 基本的メカニズム
5. シミュレーション
 
chapter1: プロファイル設定
 
1-1. 人間の体格とアビリティ
1-2. 器材の主要諸元
1-3. シフティング
1-4. ホイール
1-5. タイヤ
1-6. ブレーキ
1-7. 器材のパワーロス
1-8. コースコンディション
1-9. プロトン
 
chapter2: プリファレンス
 
2-1. 運動生理学的諸元
2-2. プロセスインターバル
2-3. マテリアル比熱
2-4. マテリアル放射率
2-5. グラフ表示
2-6. 初期値
 
chapter3: 基本的メカニズム
 
3-1. ケイデンス理論
3-2. ペダリング力学
3-3. ギアコンビネーション
 
chapter4: シミュレーション
 
4-1. パワーと速度
4-2. 加 速
4-3. 減 速
4-4. ブレーキング
4-5. 斜度と加減速度
4-6. コーナーリング
 


概 要


ここでは大まかな使い方を記します

先ず最初にプロファイルの設定をします。
プロファイルには、人間の体格や服装,アビリティ,器材の詳細な設定,コースコンディション等があります。これをユーザのデータに置き換え、データファイルとして保存して下さい。ファイルは幾つでも保存,読出しをする事が出来ます。
これで、シミュレーションをする準備は完了です

シミュレーションは、基本的なメカニズムのシミュレーションと、動力や速度,加減速等に関するシミュレーションに大別出来ます

基本的なメカニズムに於いても動力やトルク等の計算をしていますが、あくまで、プロファイルで設定された器材やコース環境に於いて、動力とケイデンスの連関やその場合のギア設定等の、基本的な力学をシミュレートするものです

動力や速度,加減速等に関するシミュレーションは、設定された器材やコース環境に於いて、速度と動力の関係を算出したり、加減速での動力乃至制動力やケイデンス,速度,加減速度,走行距離等を時系列で示します。また、ブレーキングでの種種の時系列変化や、下り坂の終末速度,コーナーリングでの理論的な限界半径など多様なメニューがあります

これらのシミュレーションでは、ターゲット乃至リファレンスを複数のファクターから選択出来るようになっています。最も単純な例では、1メニューのシミュレーションに於いて速度から動力を求める事と動力から速度を求めることが可能になっています。加減速では、リファレンスとなるファクターは最大パワー,平均パワー,PFV(Power for Final Velocity, 終速に必要な動力),加減速度,タイム,距離があります

※ 斜度(inclination)に関して。以前のバージョンではプロファイルでコース環境の1項目として設定されていましたが、プロファイル設定からは撤廃し、各シミュレーションのパラメータ設定に於いて入力する様に変更しました。ver.0.95.00
 



起動時(右画像)に、プロファイルデータが<自動的に読込まれます。以下の9区分各々に複数の設定項目があります

・Human
・Equip
・Shift
・Wheel
・Tyre
・Brake
・Loss
・Course
・Peloton

インストール後に初めて起動した場合は、“default.pro”ファイルに設定された適当な値が読込まれます。このファイルはインストールフォルダの下位フォルダ“profile”の中にあります

これらの設定値をユーザ独自のデータに置き換えて下さい。そして、データファイルにセーブして下さい。ファイル名は好きにつける事が出来ます。また保存する場所も好きに出来ます

メニュー“Profile”のプルダウンメニューから操作出来ます
 



プリファレンスには、通常は変更する事が稀であろう、以下の6区分各々に複数の設定項目があります

・Physiology
・Accuracy Interval
・Specific Heat
・Emittance
・Graph
・Initial Values

順に、運動生理学,プロセスインターバル,比熱,放射率,グラフ,初期値です。
運動生理学では、FTPの使い方とエネルギー効率を設定出来ます。プロセスインターバルは、加減速等のシミュレーションに於いて時系列データを表示する際の単位時間を設定します。比熱と放射率は、ブレーキマテリアルの比熱と放射率の設定で、各々にカーボン,アルミ合金,ステンレスの設定が出来ます。グラフでは、そのポップアップ表示の可否を変更出来ます。初期値では、各シミュレーションのパラメータの初期値を常にデフォルト値とするか前回の入力値を反映させるかを選択出来ます

以上の項目は、わからなければデフォルトの設定で使用して下さい

メニュー“Option”のプルダウンメニュー“Preference”から操作出来ます
 



以下の3つのメニューがあります

・Cadence Theory
・Pedaling Dynamics
・Gear Combination

ケイデンス理論は、ケイデンスとパワー及びトルクの力学的連関をシミュレートします。人が最大パワーを出力出来るのは特定のケイデンスであり、その人固有の回転数があります。また、無負荷の場合の最大回転数とも連関があり、比較的単純な数式で表現する事が出来ます

ペダリング力学は、ケイデンスとパワー,ペダリングの平均トルクをシミュレーションします。シミュレーションというよりも単純な力学計算ですね

ギアコンビネーションは、ケイデンスと速度,ギアのコンビネーションを計算します。ギアの歯数は、プロファイル設定された歯数から選択するか、自由に数値設定するかを選択出来ます

メニュー“Simulation”のプルダウンメニューの上の方に並んでいます
 



以下の6つのメニューがあります。
各々でターゲット乃至リファレンスファクターが複数あり多様なシミュレーションが可能になっています

・Power and Velocity
・Acceleration
・Deceleration
・Pattern Braking
・Inclination and Velocity
・Critical Cornering

動力と速度は、定速度走行に於けるシミュレーションです。動力から速度を算出する事とその逆に速度から必要な動力を算出する事が出来ます。ケイデンスやトルク,フォース等の関連する様々なファクターを器材の各部位で算出しています

加速は、選択したリファレンスファクター(動力や時間,距離,加速度等)に基づいて、設定した初速から終速までのシミュレーションを行ないます。時系列で多くのファクターを算出表示します。終速に動力が不足の場合などは途中で終了します。また、グラフ表示が可能です

減速は、仕組みとして加速と同様です。リファレンスに動力を選んだ場合の値の正負は問題ではありません。負の動力の場合、通常は、制動(ブレーキング)としてシミュレートします。時系列の数値表示とグラフ表示が可能です。
でも、負の動力(W)は、フォースに換算されて制動をシミュレートします

ブレーキングは、フォース(kgf)を制動の基準としてシミュレートします。一定のフォースで初速から終速までのシミュレーションや、クリティカル(フル)ブレーキング、下り坂で一定の速度を保つ制動、一定の距離毎に一定の速度まで減速するなど、様々なシミュレーションが可能です。時系列の数値表示とグラフ表示が可能です。また、ブレーキマテリアルの温度変化なども算出します

斜度と速度は、下り坂での終末速度が算出出来ます。斜度から終末速度を算出する事とその逆に終末速度から斜度を算出する事が出来ます。時間や距離を制限して、終末速度では無く終速として設定し、シミュレートする事も可能です

コーナーリングは、速度から限界となる旋回半径を算出する事とその逆に限界となる旋回半径から速度を算出する事が出来ます

以上のシミュレーションは全てプロファイルで設定した器材やコース環境をベースにしている事に注意して下さい
 




chapter1: プロファイル設定



以下の項目を設定します

・human height
・human weight
・position
・torso angle
・cadence usual
・cadence powered maximum
・cadence shift up
・cadence shift down

人間の身長と体重を入力します

ポジションを選択します。一番上の「-- torso angle --」を選択した場合は、背筋の平均的な角度を入力する事で、ポジションの代替えとなります。
他のポジションを選択すると、入力不可能になっているtorso angle」の値が変化します。それは各々のポジションの平均的な角度であり、そのポジションと角度は等価になります

普段のケイデンスは、人によって解釈が異なりそうですが、定速度走行を行なっている時のケイデンスです。ロードレースで言えば、特に駆け引きも無く集団で走行している場合のケイデンスです

最大パワーのケイデンスは、最大パワーを出力する場合のケイデンスです。個人が最大速度で走行する場合のケイデンスです。レースであればゴールスプリントの場合のケイデンスです

シフトアップケイデンスはシフトアップする直前のケイデンスです

シフトダウンケイデンスはシフトダウンする直前のケイデンスです
 




以下の項目を設定します

・wear
・helmet
・bike weight
・shell type

ウェアとヘルメットを選びます。エアロダイナミクスに影響します。特にウェアは大きく影響します

バイクの総重量を入力します。except wheel weightにチェックを入れた場合は、前後のホイール重量を除いたバイクの重量を入力します

シェルタイプはフレーム形状のタイプの事で、ノーマルタイプかエアロタイプかを選択します。エアロタイプの場合は、更に、ノーマルタイプに比較したエアロダイナミクス比率を入力します。フレームの影響はさほど大きなものではありません
 




以下の項目を設定します

・time loss of shifting
・clank length
・chainring teeth
・sprocket

シフティングのタイムロスは、シフトチェンジする際の時間ロスです。例えば、2010年のモデルではカンパニョロレコードで0.35秒,シマノデュラエースで0.45秒と言われていました。
ここで設定した時間は、シミュレーション上(加減速)でのシフトチェンジの際にノーパワーとなります。
メーカはスプロケット形状の開発により、シームレス化を目指していますので、シフティングする場合にも、多寡はさて置き、パワーをかけている人も多くなっているかも知れませんね。その場合は、より短い時間でよいと思います

クランクの長さを入力します

チェーンリングの枚数を入力します。枚数に従って、各々のチェーンリングの歯数を入力します

スプロケットの枚数を入力します。次いで、各々のスプロケットの歯数を入力します

vae.0.95.00以降、設定出来るギアの枚数の幅を拡げました。最多でフロント3枚×リア15枚、最少は1枚×1枚(ピスト)です
 




フロントホイール,リアホイールそれぞれに以下の項目を設定します

・size
・weight
・resist
・-- in case of velocity

ホイールのサイズを入力します。単位はインチです

重量を入力します。タイヤやチューブは除きます

レジストは、空気抵抗で、次いで、そのレジストを生じる速度を入力します。
「predict」により、ホイールのリムハイト,スポーク数,モデル年度から、50km/hの場合のレジストを推計出来るようになっています。
これは、実在の数十のホイールデータを統計処理し、有意性が認められた3つのファクターから成るモデル式による算出です。モデル年度の有意性が高かったのは、'00s年代半ばにエアロダイナミクスが進化した事が反映されています
 




フロントタイヤ,リアタイヤそれぞれに以下の項目を設定します

・size
・weight
・rolling coefficient
・friction coefficient

タイヤのサイズを入力します。サイズとはタイヤ幅の事です。これは通常「C」で表されるサイズなのですが、メーカによって微妙に異なる様です

重量を入力します。チューブの重量も含めて下さい

転がり係数を入力します。
ハイエンドクラスで、0.003〜0.005辺りに多く分布しています。これはBPNが75の一般的な舗装路の場合です。ダート路面の場合は考慮されていません。通常、スリックタイヤの方が係数は小さい傾向にあります。
また、ダートに特化したシクロクロスやMTB用のタイヤの転がり抵抗は極端に大きなものですが、舗装路でも悪路でも係数がほとんど変化しないところに特徴があります

摩擦係数を入力します。
ハイエンドクラスで、0.70〜0.90辺りに多く分布しています。これもBPNが75の一般的な舗装路の場合です。ダート路面の場合は考慮されていません。通常、スリックタイヤの方が係数は大きい傾向にあります

転がり係数と摩擦係数は、傾向として、トレードオフの関係にあります。フロントに摩擦係数の優れるタイヤを、そして、リアに転がり係数に優れるタイヤを使っているユーザもいるのではないでしょうか。尤も、銘柄次第ですが
 




フロントブレーキ,リアブレーキそれぞれに以下の項目を設定します

・rim/disc(type)
・material
・weight
・depth/diameter

先ず、リムブレーキかディスクブレーキかの選択をします

素材を選びます。カーボン,アルミ,ステンレスとあります。リムブレーキの場合は、カーボンかアルミの選択になるでしょう。ディスクブレーキの場合は、アルミかステンレスの選択になるでしょう。
稀にカーボンのディスクブレーキもありますが、ここでは、セラミックコーティングされたカーボンコンポジットなどは考慮されていません

リムもしくはロータの重量を入力します

リムの場合はハイト(height, rim depth)を入力し、ロータの場合は直径を入力します
 




以下の3つの器材の動力ロスを設定します。いずれも、デフォルトの条件下で、3〜5%ぐらいが標準的な値です

・shell loss
・mission loss
・wheel loss

シェル損失は、フレームの撓みによるもので、クランクトルクが50.0Nmの場合の損失率を入力します。トルクによって損失率は変化します。
非常に剛性の高いフレームであるなら、2.0%や1.5%でもいいでしょう。これはあくまで機械的な動力損失であって、それが疲れ難いという事ではありません

ミッション損失は、動力伝達に於ける損失です。ハイエンドのコンポーネントで3.0%、ローエンドのコンポーネントで5%として良いでしょう

ホイール損失は、リアホイールの撓みによるもので、トルクが20.0Nmの場合の損失率を入力します。トルクによって損失率は変化します。
ホイールタイプによって損失率は異なるものです。ひとつの指標は、リアホイールのスプロケット側のスポーク本数です
 




以下の4つのコース環境を設定します

・wind speed
・air density
・road surface

風速を入力します。+の場合は向かい風で、ーの場合は追い風です

空気密度を入力します。高度と気温を入力するか、ヘクトパスカルを入力するか、2つの方法があります。

路面状態を設定します。
BPNとは、British Pendulum Numberという単位で、十分な摩擦を得るサーフェイスの評価値の事。
降雨状態を設定します。ドライ,ダンプ,ウェットの3つから選択します
 




プロトン乃至トレインに於けるエアドラッグ率を設定します

・input ratio
・calculate

率を直接に入力する方法と、集団の台数と前車との距離から計算する方法の2つがあります

単独走行の場合は、エアドラッグ率に1.0を設定して下さい

ソフトウエアに計算させる場合には、トレインで引くローテーションの有無を選択します。ローテーションに参加する場合、平均化されたエアドラッグ率が算出されます
 




chapter 2: プリファレンス



以下の2つを設定します

・use FTP for training level and score
・energy effiency

FTPの使用は、特定のシミュレーションに於いて、トレーニングとして評価した場合のレベルとスコアを算出します。それは実際的なトレーニングと言えるものではなく、実験的に導入してみたものです。本格的な導入は、後のバージョンに於いて、GPSの走行データを評価する場合の為に用意したものです

エネルギー効率も、FTPの使用と同様に、後のバージョンの為に用意したもので、カロリー計算をします。エネルギー効率は、一般に0.20〜0.25と言われていて、個人差の大きなものなので、あくまで参考までと考えた方が良いでしょう
 




プロセスインターバルは、加減速の時系列変化を表示する間隔の事です。加速と減速の各々を個別に設定する事が出来ます

・acceleration
・deceleration

自動と入力を選ぶ事が出来ます
 




マテリアル比熱は、ブレーキ材の比熱を設定します

・carbon
・aluminum
・stainless

プロファイルの器材設定で選択されたブレーキの温度を計算する場合の基礎データとなります。稀に、カーボンコンポジットのセラミックコーティングされたロータがありますが、サポートしていません
 




マテリアル放射率は、ブレーキ材の放射率を設定します

・carbon
・aluminum
・stainless

プロファイルの器材設定で選択されたブレーキの温度を計算する場合の基礎データとなります。稀に、カーボンコンポジットのセラミックコーティングされたロータがありますが、サポートしていません
 




グラフ表示を設定します

・express graph
・express frequency band

“express graph”にチェックを入れると、時系列変化を伴うシミュレーションをグラフ表示します。グラフは別ウィンドウが立ち上がります

“express frequency band”は、“Power and Velocity”と“Critical Cornering”の2つのシミュレーションに於いて、シミュレーションで設定した値によらず、その有効範囲での2項間の関係をグラフ表示します
 




各シミュレーションのパラメータの初期値を、常にデフォルト値で始めるか、前回の入力値を反映させるかを選択します

・always default values
・reflect previous input

“always default values”にチェックを入れると、常にデフォルト値が初期値として設定・表示されます。もちろん、デフォルト値そのものを変更する事も可能で、“save as default”にチェックを入れて“Okay”ボタンを押せば、入力した値がデフォルト値として登録されます

“reflect previous input”は、前回に入力した値が初期値として反映されます。様々な値を少しづつ変えてシミュレーションを繰り返す場合などに便利でしょう
 




chapter 3: 基本的メカニズム



ケイデンスとパワー及びトルクの力学的連関をシミュレートします。人が最大パワーを出力出来るのは特定のケイデンスであり、その人固有の回転数があります。また、無負荷の場合の最大回転数とも連関があり、比較的単純な数式で表現する事が出来ます

ターゲットとなるファクター、つまり、計算するファクターは、ケイデンスもしくはパワーです。
リファレンスファクターは、ケイデンスもしくはパワーの、ターゲットファクターでは無い方です。更に、最大パワーとその場合のケイデンスも基礎データとして必要です。以上の3つの値を入力します

ターゲットファクターと共に、ペダリングのトルクとフォースが算出されます。
また、プロファイルの器材設定されたギアコンビネーションから、速度,実際的なケイデンス,トルク,フォース,必要最低限の最大パワー等が算出されます


――自分の最大パワーを知らない方へ、

もし、プロファイルで設定した器材で、無風のフラットコースでの最高速度と選択ギアがわかっているなら、最大パワーとその場合のケイデンスを計算する事が出来ます。
先ず、“Power and Velocity”で、速度からパワーを算出します。
次いで、“Gear Combination”で、選択ギアを設定して、速度からケイデンスを算出します
 




ペダリング力学は、ケイデンスとパワー,ペダリングの平均トルクをシミュレーションします。シミュレーションというよりも単純な力学計算です

ターゲットファクターは、ケイデンス,パワー,トルク乃至フォースの何れか1つで、リファレンスファクターはそれら3つのファクターからターゲットファクターを除いた2つです。
トルク乃至フォースをリファレンスする場合は、いずれか1つを選択して入力します

“Cadence Theory”同様に、ターゲットファクターと共に、ペダリングのトルクとフォースが算出されます

また、プロファイルの器材設定されたギアコンビネーションから、速度,実際的なケイデンス,トルク,フォース,必要最低限の最大パワー等が算出されます
 




ギアコンビネーションは、ケイデンスと速度,ギアのコンビネーションを計算します。ギアの歯数は、プロファイル設定された歯数から選択するか、自由に数値設定するかを選択出来ます

ターゲットファクターは、ケイデンス,速度,ギア歯数のいずれか1つで、リファレンスファクターはそれら3つのファクターからターゲットファクターを除いた2つです。
ギア歯数をリファレンスする場合は、プロファイル設定した歯数から選択するか、自由に数値設定するかを選択します

ターゲットファクターと共に、ギア比が算出されます

また、プロファイルの器材設定されたギアコンビネーションから、パワー,トルク,フォース,必要最低限の最大パワー等が算出されます
 




chapter 4: シミュレーション



パワーから速度を、もしくは、速度からパワーを計算します。
ターゲットファクターを速度にする場合、つまり、リファレンスファクターをパワーにする場合は、パワーベースとして、ペダリング,クランク,スプロケット,スラスト(タイヤが生み出す推力)から選択出来ます。
また、時間乃至距離を選択し、その場合のエネルギー消費を計算します。これはプリファレンスで設定したエネルギー効率に基づいています

ターゲット以外に算出表示されるファクターも多くあります

パワー,トルク,フォースが、ペダリング,クランク,スプロケット,スラスト(タイヤ設置面)各々で個別に算出されます

通常使用するケイデンスに近似するケイデンスとギアコンビネーション,最低限必要な最大パワーが算出されます

スラストパワーを構成するドラッグである空気抵抗,転がり抵抗,勾配抵抗、更に、空気抵抗はシェル,人体,ホイール各々個別に、フォースと動力が算出されます
 



選択したリファレンスファクターに基づいて、設定した初速から終速までのシミュレーションを行ないます。時系列で多くのファクターを算出表示します。終速に動力が不足の場合などは途中で終了します。また、グラフ表示が可能です

選択可能なリファレンスファクターは、最大パワー,平均パワー,最大パワーとしてのPFV(Power of Final Velocity),平均パワーとしてのPFV,区間タイム,距離,加速度,G換算の加速度,コンスタントパワーがあります。
最後のコンスタントパワーは現実的ではありません。序に用意してみたまでです

イニシャルキックタイムは、ゼロ発進時のみに適用されます。通常、ゼロ発進の際には、低回転のペダリングだけでは十分なパワーを引き出せないので、爪先での蹴り出しや上体を前後に振る行為によって勢いをつけます。少しでもパワーを引き出せる様に回転数を先んじて上げます。そして、設定された短い時間は、低回転時のパワー曲線をスムージングしてシミュレートします

スタート時のギアは、自動で最適化する事、もしくは、選択的に設定する事が可能です
 


算出表示されるファクターも多くあります

平均パワー,最大パワー,平均トルク,平均フォースを、ペダリング,クランク,スプロケット,スラスト(タイヤ設置面)の各々のベースで個別に算出されます

最低限必要な最大パワー,区間タイム,平均加速度,最大加速度,距離が算出されます

消費カロリー等が算出されます

時系列で、経過時間,速度,パワー,トルク,フォース,加速度,走行距離,ギア,ギア比,ケイデンスが表示されます。パワー,トルク,フォースは、ペダリングベースになります。
プロファイルで設定したシフトアップケイデンスに達した際にシフトアップし、同様に設定されたシフティングタイムロスの間はノーパワーでシミュレートされます
 



選択したリファレンスファクターに基づいて、設定した初速から終速までのシミュレーションを行ないます。時系列で多くのファクターを算出表示します。プラスの動力により終速に達しない場合は途中で終了します。マイナスの動力を設定した場合は制動として扱われます。また、グラフ表示が可能です

選択可能なリファレンスファクターは、最大パワー,平均パワー,最大パワーとしてのPFV(Power of Final Velocity),区間タイム,距離,加速度,G換算の加速度,コンスタントパワーがあります。
最後のコンスタントパワーはあまり実際的ではありません

スタート時のギアは、自動で最適化する事、もしくは、選択的に設定する事が可能です。尤も、パワーをゼロ以下に設定した場合は無視されます

マイナスの動力による制動は、コンスタントフォースに換算されて制動をシミュレートします
 


算出表示されるファクターも多くあります

平均パワー,最大パワー,平均トルク,平均フォースを、ペダリング,クランク,スプロケット,スラスト(タイヤ設置面)の各々のベースで個別に算出されます

区間タイム,平均加速度,最大加速度,距離が算出されます

時系列で、経過時間,速度,パワー,トルク,フォース,加速度,走行距離,ギア,ギア比,ケイデンスが表示されます。パワー,トルク,フォースは、ペダリングベースになります。
プラスパワーで設定した場合は、プロファイルで設定したシフトダウンケイデンスに達した際にシフトダウンし、同様に設定されたシフティングタイムロスの間はノーパワーでシミュレートされます
 



制動をフォース(kgf)を基準として4つのパターンでシミュレート出来ます。一定のフォースで初速から終速までのシミュレーションや、クリティカル(フル)ブレーキング、下り坂で一定の速度を保つ制動、一定の距離毎に一定の速度まで減速するなど、様々なシミュレーションが可能です。時系列の数値表示とグラフ表示が可能です。また、ブレーキマテリアルの温度変化なども算出します

4パターンそれぞれで設定項目が異なります。
一定フォースによるブレーキングは、初速から終速までをシミュレートします。フォースの値はマイナスを入力して下さい。
クリティカルブレーキングは、フルブレーキングをシミュレートします。設定項目は初速と終速のみになります。
一定速度のブレーキングは、制動により一定の速度で走行する事をシミュレートします。トータル距離の設定によりブレーキ温度の時系列変化を算出します。
断続的ブレーキングは、インターバルで設定された距離毎に制動速度までフルブレーキングします。トータル距離の設定によりブレーキ温度の時系列変化を算出します
 


一定フォース,クリティカルブレーキングの場合に算出表示されるファクターを記します

スラスト(タイヤ設置面)での平均制動力,最大制動力,平均トルク,平均フォースを算出します

時間,平均加速度,最大加速度,距離を算出します

空気抵抗と転がり抵抗によって消費されたエネルギー,消費された位置エネルギー,初速時と終速時の運動エネルギーを算出します

フロント,リアのブレーキの温度,発熱量,放熱量,残積熱量を算出します

時系列で、経過時間,速度,パワー,トルク,フォース,加速度,走行距離が表示されます。パワー,トルク,フォースは、スラスト(タイヤ設置面)ベースになります。
 


一定速度を保つブレーキングの場合に算出表示される項目を記します

先ず、制動フォースが算出されます。次いで、設定されたトータル距離に要する時間が算出されます

空気抵抗と転がり抵抗によって消費されたエネルギー,消費された位置エネルギー,初速時と終速時の運動エネルギーを算出します

フロント,リアのブレーキの温度,発熱量,放熱量,残積熱量を算出します

一定速度を保つブレーキングの場合は、時系列変化は算出されません



右画像は断続的ブレーキングの設定画像です
 


右画像は断続的ブレーキングのグラフです。横軸は時間、縦軸に速度と走行距離です。算出表示される項目を記します

先ず、制動フォースが算出されます。次いで、設定されたトータル距離に要する時間が算出されます

空気抵抗と転がり抵抗によって消費されたエネルギー,消費された位置エネルギー,初速時と終速時の運動エネルギーを算出します

フロント,リアのブレーキの温度,発熱量,放熱量,残積熱量を算出します

時系列変化として、ブレーキング開始とブレーキング終了の時点で区切り、時間,距離,速度,フロントブレーキ温度,リアブレーキ温度,発熱量,放熱量,残積熱量を表示します
 


右画像は断続的ブレーキングのグラフです。横軸は時間、縦軸にフロントブレーキとリアブレーキの温度です。
二百数十秒で平衡状態になっています
 



斜度と速度は、下り坂での終末速度が計算出来ます。斜度から終末速度を算出する事とその逆に終末速度から斜度を算出する事が出来ます。
時間や距離を制限して、終末速度では無く終速として設定し、シミュレートする事も可能です

無制限の場合は、終末速度が算出されます。
終末速度に達した状態での空気抵抗,転がり抵抗,勾配抵抗が算出され、更に、空気抵抗は、シェル,人体,ホイール各々個別に算出されます。時系列変化は表示されませんが、グラフで確認する事は出来ます

距離乃至時間により制限を設定した場合、終速,時間,距離が算出されます。
更に、時系列変化として、時間,速度,加速度,距離が表示されます
 


右画像は、制限無しで、終末速度を計算した場合のグラフです。
終末速度である平衡状態に達するまでの時系列変化を表示しています。横軸は時間,縦軸に速度と距離です
 



コーナリングは、速度から限界となるコーナー半径を、コーナー半径から限界となる速度を算出します

フリクションマージンを比率で設定する事が出来ます

その場合の、パワー,トルク,フォースをペダリング,クランク,スプロケット,スラスト(タイヤ設置面)各々のベースで個別に計算します。また、その場合のケイデンスとギア,必要最低限の最大パワーを算出します

このシミュレーションは厳密なものではありません。おおよその目安程度に捉えて下さい。
前後バランスは理想的な状態で考慮されていて、ヒステリシスによるグリップ増加分は考慮されていません
 




御感想でもありましたら
 


e_mail to webmaster